クリスマスの攻防
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クリスマスの攻防
「何かなあ」
ハンバーガーショップの中で詰襟の学生が席に座りながらぼやいていた。少し茶色い髪で背は普通よりやや高い位か。顔は日本人にしては彫が深くくどくも見えるがいい顔と言えばいい顔に見える。その彼がぼやいていた。
「僕達っていつも食べ物のところにいない?」
「あれ、そうかしら」
それを聞いて目の前に座る少女が顔を上げた。
髪を肩のところで切っているがそれがはねている。どうやら少し癖のある髪の毛らしい。顔立ちは少し幼さの残る感じである。背も低くそれがその顔に合っていた。服装はブレザーである。横に置かれた鞄を見ると詰襟を着た目の前の男子学生と同じ学校であることがわかる。スカートの丈は折り込んでいるのかかなり短い。そしてブレザーの下の黄色いセーターが目立つ。今時の服装であるがかなり目立つことは目立つ。
「気のせいよ、気のせい」
「気のせいじゃないだろ」
詰襟の少年はそう言って反論した。いささか口を尖らせている。
「昨日はラーメン屋だったよ」
「うん」
「そしてその前はお好み焼き屋。いつもデートとか学校の帰りで一緒になったら食べてばかりじゃない?」
「そうかしら」
「今もハンバーガー食べてるし」
彼は少女が手に持つハンバーガーを指差して言った。
「それももう三個目だよ。太るよ」
「ちょっとお」
少女はそれを聞いて口を尖らせた。
「女の子に太るって言葉は禁句でしょ、デリカシーのない」
「じゃあ食べなかったらいいのに」
それでもまだ言った。
「コロコロしてきたし。そんなのだと後で困るよ」
「いいもん」
少女は開き直ってきた。
「ダイエットするから、後で」
「そして痩せたらまた食べるんだな」
「悪い?」
「いや、もうそれわかってるから」
突き放したような言葉で返した。
「今までで。けどたまには他の形でデートとかしない?」
「他にって?」
「映画館行くとかさ。ショッピングとか」
「いつもしてるじゃない」
「そうだけれどな。けれど何か違うんだよ」
少年はそう答えてまた口を尖らせた。
「それでその前には絶対に何か食べるか喫茶店に入るよね」
「うん」
「で、後にはまた食べる。結局食べてるじゃないか」
「育ち盛りだもの」
「それでも限界越えてるよ」
少年ノ顔が段々憮然としてきた。
「よく金が続くよね、お互い」
「そりゃ弘樹君バイトしてるから」
「いや、智子ちゃんも」
二人はお互いの名を呼び合った。
「それでもお互い毎日みたいに、だろ。何か僕達食べることにばっかりお金使ってるじゃないか」
「人間食べなきゃ死ぬのよ」
智
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