クリスマスの攻防
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トが終わって疲れてるから」
「そうなんだ」
「そうそう。だから気にしないで」
「うん」
頷きながらも少し気にかかった。いつもなら疲れているからと余計食べるのに。今日は何かが違っていた。それが気にはなったがここは智子に押し切られる形となった。
「クリスマス何処に行くことに決めたの?」
「それだけれどね」
弘樹はそれを受けて自分の鞄から雑誌を取り出してきた。そしてそれのページをめくる。
「ここにしようと思うんだけれど」
「そこなの」
「どうかな」
見ればそこは県でも有名なテーマパークであった。若いカップルのデートスポットとして有名でもある。
「ここならいいと思うんだけれど」
「そうね」
そこなら問題はないと思った。智子としても反対する理由はなかった。
「そこでいいわ」
それに頷くことにした。それでいいと思った。
「じゃあここにするよ」
「うん」
頷きながらも智子はそのテーマパークの周りについて考えを巡らせていた。若いカップルのデートスポットであり周りにはレストランや様々な外食の店が多い。そして別のものもある。
(ホテルもあった筈よね、確か)
子供の頃は家族で、そして中学生になってからは友達と一緒によく行った場所である。行くのは今回がはじめてではない。だから周りにどんなものがあるのかは大体わかっている。おおよそのことはわかっていた。
(あそこがいいかな)
その中の一つのホテルが頭に浮かんだ。外見はお城のようで可愛らしい感じである。
(はじめてだしね、やっぱり最初は)
可愛い感じのホテルに入りたかった。そう考えていた。だがその考えは中断されてしまった。
「智子ちゃん」
弘樹が声をかけてきたのだ。智子は自分の考えを打ち切って彼に応えるしかなかった。
「何?」
「あ、いや。どうしたのかなあって思って」
「ちょっと考え事をね」
「考え事?」
「うん」
答えながら実は時間を稼いでいた。そして次に言う言葉を探していた。
「何処に行こうかなあって」
「テーマパークだしね。色々あるからね」
その誤魔化しにどうやら気付かなかったようである。弘樹は疑うことなくそう言葉を返してきた。
「そうなのよね」
(危ない危ない)
智子は答えながら内心ちょっと冷や汗をかいていた。今気付かれるわけにはいかないと思っていた。
「何処がいい?」
「ジェットコースターなんかいいよね」
「まずはそこだね」
「あとは観覧車」
「オーソドックスに」
このテーマパークの観覧車は有名である。智子はそこに行った時いつもそれに乗る程気に入っているのである。
「コーヒーカップと。他はその時に決めればいいかな」
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