クリスマスの攻防
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でも智子は何か抵抗があったのである。
「私、デブだし」
「気のせいよ」
「そんなに太ってないよ。何なら脂肪率とか体重と身長比べてみたら?小林って全然デブじゃないよ」
「気休めはいいわよ」
何かすねてきた。
「自分がよくわかってるから。こんなデブじゃ弘樹君に悪いわ」
「それじゃあダイエットしたら?」
「してるわ。けれど」
痩せたらその側から食べてしまうのである。そして太ってまた痩せる。これの繰り返しである。智子は痩せ易く、また太り易い体質なのである。本人はそれも気にしているのだ。
「それでもね。すぐ太っちゃうし」
「食べるの止めたら?控えるなりして」
「それはちょっと」
耐えられそうにもない。食べるのが最大の喜びであるのにそれは辛かった。
「それじゃあどうしようもないわね」
「けれど考え過ぎよ」
「考え過ぎ?」
「そうよ。男の子ってね、案外わからないものなのよ」
クラスメイトの一人が皆の顔を集めてヒソヒソと囁く。周りの目と耳を気にしてであるのは言うまでもない。
「私だってそうだったし」
「あんたもうやっちゃったの」
「まあね」
さりげなく誤魔化す。だがそれでも顔は赤くなっていた。
「その時今よりずっと太ってたけれど。彼氏気付かなかったから」
「へえ」
「今と全然体形違ってるけどわからなかったから。今でも気付いていないし」
「男の子ってそうなんだ」
「したってだけでもう満足、感謝感激って状態みたいだったから。案外気付かないものなのよ」
「そうなの」
「そうなのよ。だから小林も心配しなくていいよ」
「じゃあクリスマスは平畑君と」
「宜しくやりなさいよ」
「どうしてそうなるのよ」
不平はあったが押し切られる形となった。とりあえず智子はホテルか何処かムードのいい場所を弘樹に言うことになった。だが弘樹はそれには気付いていなかった。黙々とテスト勉強とクリスマスの予定について計画を練っていた。こうして時間は過ぎていった。
やがてテストになりそれも終わった。弘樹はこの関門を何なくクリアーし、智子は苦しみながらも何とか突破した。そして遂にクリスマスその日が近付いてきた。
「いよいよだね」
「うん」
テストが終わったその日二人は喫茶店で打ち合わせをしていた。弘樹は紅茶を飲み智子も同じものだ。今日はどういうわけかケーキ等は頼んでいない。そして弘樹と同じ紅茶を飲んでいる。しかもそこに砂糖もクリームも入れなかった。
「何かあったの?」
弘樹はそれが気になり尋ねた。
「何が?」
智子はそれを受けて不思議そうに顔を上げた。だが一言も発しない。
「いや。今日はやけに少食だと思ってね」
「ちょっとね。テス
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