暁 〜小説投稿サイト〜
クリスマスの攻防
クリスマスの攻防
[3/13]

[1] [9] 最後 最初
ったが。思えばその時から智子は食べてばかりであった。
「じゃあ後で詳しい話するから」
「打ち合わせとかいいの?」
「それは学校でもできるし。それでもいいよね」
「うん」
「それじゃあ。それで決まりということで」
「あっ、待って」
「まだ何かあるの?」
「もう帰るんでしょ。それじゃあコーラ飲んでから」
「はいはい」
 また呆れてしまったがそれに頷いた。そして二人は智子がコーラを飲み終えてから店を出た。そして二人で帰り道を歩いていた。
 店を出るともう暗くなりはじめていた。ついこの前までまだ明るく、夕焼けが見えていたのに今ではそれはもう過ぎ去り夜の闇が近付こうとしていた。そして道も紫になってきていた。昼の赤と夜の青が混ざり合ったせいであろうか。二人はその紫の道を歩いていた。
「そういえば本当にもうすぐクリスマスなんだね」
「さっき言ったじゃない」
 弘樹はそう言いながら苦笑を浮かべた。
「いや、寒くなってきたから」
「確かにね」
 それには弘樹も同意した。
「そろそろ僕もコート出さなくちゃな。もういい加減寒いし」
「私も。クリスマスだしあったかいセーターとか出さないと」
「セーターならもう着てるじゃないか」
「これはファッションなのよ」
「ファッション」
「うん」
 智子は弘樹の言葉に頷いた。
「私セーター好きだし気こなしには自信あるしね」
「そうだったの」
 そう言いながらブレザーの下のセーターを見る。それは青いブレザーとそれと同じ色のネクタイを見事に映え立たせていた。そう言われてみればいいものである。
「それでいつも着ているのよ」
「そういえば外出の時もよく」
「そうでしょ」
 智子は次第に上機嫌になってきた。そのせいか弘樹の手を握ってきた。彼の手にほんわかとしたぬくもりが伝わってくる。冬の寒さを打ち消すような温かさであった。
「いつも着てるのよ。けれどクリスマスは別のを着たいな」
「何を着るの?」
「それはまだわからないけれど」
 それでも何か考えているようであった。智子は考える時目をあさっての方にやる。だからすぐにわかるのである。
「けれど何か。お洒落してくるから」
「期待してるよ」
「その点男の子はいいよね」
「何で?」
 弘樹は問うてきた。
「服にあまりお金も考えもやらなくていいから。女の子は大変なのよ」
「大変なんだ」
「そうよ。上だけじゃなくて下にも気を遣わなくちゃいけないから」
「けれど学校ではいつもそれで」
 弘樹はそれに対して智子の足下を指差した。見れば素足が丸見えである。少し太めだが可愛らしい足が折り込んでわざわざ短くしたスカートから見えている。
「外出の時
[1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ