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クリスマスの攻防
クリスマスの攻防
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杯であった。智子は完敗だと思ったがそれでも満足していた。もう全てが満ち足りていた思いだった。
「あ・・・・・・」
 だがそれだけではなかった。ここで光とは別のものが目に入って来た。
「雪」
 そう雪であった。雪が少しずつ二人の肩に舞い降りてきたのだ。それはゆっくりと二人の肩に降りる。そして白から銀になり溶けていった。
「流石にこれはプレゼントじゃないよ」
「わかってるわよ」
 智子はくすりと笑って弘樹の言葉に頷いた。
「これは幾ら何でも無理よね」
「うん」
「けど・・・・・・嬉しい」
 智子はにこりと笑って言った。
「何か。食べるのよりもいい」
「そうだね」
「こんなデートもあったんだ。今日は何か凄く不安だったけれど」
「不安だったの?」
「だって。食べることと遊ぶこと以外に何があるんだろうって思ってたから。ショッピングとかもないし」
「まあテーマパークだから」
「それでもこんなのが見られるなんて。デートっていいわね」
「うん。何かここまでなるとは僕も思わなかったよ」
「雪のことね」
「これはね。幾ら何でも」
 弘樹は優しく笑っていた。智子はその笑顔を見ただけで満足だった。
「ねえ弘樹君」
 そして声をかけてきた。
「何?」
「今日は最後までここでいようよ」
「いいの?何かあったんじゃ」
「あっ、何でもなかったから」
 智子はホテルに行くことはもう諦めた。
「何でもないから。ここに比べたら」
「そうなの」
(下着は無駄になったけれど。もうそんなのどうでもいいや)
 心の中ではこう思っていた。実はこの日の為にとっておきの下着も用意してきたのだ。黒いショーツとブラである。大人の女の人が身に着けるようなものだ。それにガーターストッキング。かなり武装してきたのだ。
「ずっとね。見ていたいね」
「うん」
 弘樹はまた頷いた。
「二人でね」
「そうだね」
 そのまま二人は心ゆくまで光と雪の中にいた。二人のクリスマスはこうして過ぎていった。それは何時までも二人の心に残ることとなった。
「それで何もなかったのね」
 クリスマスも冬休みも終わり新学期となった。その時の話を智子自身から聞いたクラスメイト達は拍子抜けしたようにこう言った。
「冬休みの間も」
「うん」
「結局何もなし」
「デートしただけよ。悪い?」
「悪くはないけれど」
 そうは言ってもまだ言いたい。
「あっきれた。結局そういうことはなしだなんて」
「子供よねえ、小林は」
「相変わらずって言うべきかしら」
「子供っていうのはどうかしら」
 智子は自分の席の周りに立っているクラスメイト達に対して言った。自分は腰掛
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