クリスマスの攻防
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で反撃しようにもできなかった。ここは負けを認めるしかなかった。
「有り難うね」
「どういたしまして」
「それでもう一つは何なの?」
智子は落ち着いた後でこう尋ねてきた。
「二つあるって言ったけど」
「もうすぐわかるよ」
「もうすぐ」
「うん。ここのテーマパークのイベントでね」
弘樹は説明をはじめた。
「クリスマス限定のがあるんだ」
「そんなのあったの」
これは初耳だった。
「うん、そうだよ」
「一体どんなの、それって」
この時智子はそれを知らなかったのを迂闊とは思っていなかった。特にこれが何なのかも考えてはいなかった。これが彼女にとって敗因になるとは知らなかったのだ。
「だからもうすぐわかるって」
「けど何なのよ」
「ほら」
「ん!?」
話をしているうちにもう真っ暗になっていた。濃い紫の空には次第に星が見えようとしている。だが智子の目には星よりも先にあるものが目に入ったのであった。
「あ・・・・・・」
それは無数の光の瞬きであった。夜の闇に包まれたテーマパーク全体にイルミネーションが輝いていたのだ。
「クリスマス限定でね」
弘樹が説明をはじめた。
「やってるらしいんだ。イルミネーションだよ」
「綺麗・・・・・・」
弘樹の言葉は耳に入ってはいたが半分は届いてはいなかった。智子はそのイルミネーションの輝きに目と心を奪われてしまっていた。
「これが二つ目なのね」
「うん」
弘樹はそれに頷いた。
「気に入ってもらえたかな、これも」
「気に入らない筈ないじゃない」
智子はこう答えた。
「こんなの。考えもしなかった」
「何処がいいかずっと考えていたんだよ」
弘樹はまた言った。
「そうしたらここがクリスマス限定でイルミネーションやってるって読んでね。それでここにしたんだ」
「クリスマスの贈り物に?」
「そうだよ。何かこれは考えてなかったみたいだね」
「それはね」
その通りであった。智子はイルミネーションを見上げたまま頷いた。
「何か。夢みたい」
「ありきたりな言葉だけれど夢じゃなくて本当だよ」
弘樹は言った。
「クリスマスだけの。特別な光なんだ」
「特別な」
「それがわかったから選んだんだ。正解だったみたいだね」
「ええ」
智子はまた頷いた。
「有り難う、弘樹君」
そして礼を言った。
「こんなクリスマス、はじめてよ。こんな綺麗なのが見られるなんて」
「僕も」
そう言いながら智子に肩を寄せてきた。
「いい?」
「うん」
智子はまた頷いた。そして弘樹に肩を預けた。
弘樹に肩を抱かれる形となった。それでもう二人は一
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