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コールド=ローズ
第六章

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第六章

「和食にしますか?」
「和食ですか」
「はい、和食に」
 それはどうかというのである。
「それはどうですか」
「和食ですか」
「お豆腐なんかは」
 言うのはそれだった。
「どうでしょうか」
「お豆腐ですか」
「はい、お豆腐です」
 穏やかな笑みに戻っての言葉だった。
「それで」
「そうですね。いいですね」
 雄二も彼女の提案に笑顔になった。
「それなら湯豆腐なんかどうですか?」
「いいお店を知ってるんですか?」
「はい、丁度近くに」
 それがあるというのだ。
「ですから。どうですか?」
「この辺りにあったんですか」
「はい」
 そうだとだ。笑顔で話すのだった。
「そうです。お豆腐はお好きですか?」
「大好きです」
 侑布はにこりと笑って雄二の今の言葉に答えた。
「お豆腐なら何でも」
「そうですか。じゃあそれでいいですよね」
「はい、それでは」
 こう話をしてであった。二人でその豆腐屋に向かう。そうしてであった。
 二人の仲は親密になった。そしてだ。課長もそんな侑布を見て言うのだった。
「上手くいってるみたいだね」
「いっているとしたらどうなるのでしょうか」
「決まってるじゃないか」
 課長はにこりと笑って話した。
「幸せになるんだよ」
「幸せにですか」
「そうだよ、幸せにね」
 なるというのである。
「なるんだよ」
「実はですね」
「うん、実は?」
「この前プロポーズされました」
 そうなったというのだ。
「一緒に阪神の応援をしたその時に」
「その時にかい」
「はい、その時にです」
「阪神でも勝ったのかい?その時は」
「わかりますか?」
「わかるよ」
 課長は笑って侑布に話した。
「プロポーズをするには度胸がいるからね」
「そうですね、それはわかります」
「だからね。阪神が勝って勢いがある時に」
「それでなんです」
「そして」
 課長はここでさらに言った。
「君はそれを受けたね」
「それもおわかりになられるのですか?」
「ははは、それは簡単だよ」
 課長は大いに笑って言ってきた。
「もう一目でわかるよ」
「一目で、ですか」
「そうだよ。わかるよ」
 こう言うのである。
「それはね」
「そうなのですか」
「君が笑顔だからね」
 言うのはここだった。

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