アカデミー編
落第
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
出席日数が足りないと、まだ後、半年も期間があるのに、そう担任の教師から告げられた。
そこまで休んだつもりはない。落第させられるようないわれはない。
そう噛みつこうかと思ったけれど、カトナには殆どそんな権限はないし、もし反論したらしたで、それを理由に、更に成績の評価が下げられそうだったので、我慢して黙り込む。
教師はぐちぐちと好き勝手なことを言って、思う存分カトナのことを罵っていたけれど、やがて、罵るのにも飽きたのか。カトナの出席日数が書かれているらしい紙を押し付けてくる。
…欠席させたのは、お前のくせに。
一瞬、そんな思いが口から飛び出しかけたが、必死に耐える。
忍びとは忍び堪えるものだという言葉を反芻する。
そう、自分は忍びなのだ。だからこのくらいの感情はいなせないと。
深呼吸して自信をなだめたカトナは、無言でお辞儀をするとその場から去る。
その姿を憎々しげに睨み付けた男は、肩をとんっと叩かれ、慌てて振り返る。
「すっ、すいません。お取込み中でしたか? あの、今日からここの教師になる、海野イルカです」
新任の教師だという事に気が付いて、男は柔和な笑みを浮かべた。
先程、カトナに向けた蔑視の視線とは明らかに違う。この姿をサスケが見たならば、激怒していただろうと思うくらいに手のひらを返した男は、頭を下げ、こちらこそと返事を返す。
その後、ちらりとカトナが去った方を見て、男の顔色を窺うようにしながら、言葉を出す。
「あっ、あのさっきの赤髪の生徒ってもしかして…」
「ああ、はい。九尾の人柱力ですよ」
深く頷いた教師に、イルカはそうですか……と小さく言葉を出すと、もう一度、カトナが去った方向を見た。
イルカが、まだ九尾の人柱力だと彼のことを認識していないからだろうか。赤い髪の毛の子供は、なんだか悲しそうに見えた。
・・・
どうしよう、どうしよう……。
頭の中がぐるぐるとまわる。
落第してもいいとは、思う。
けれど、落第したら、来年にはナルトが入ってくるのだ。兄弟だと頭では分かっていても、九尾だとカトナを敵視する人間は、ナルトに危害を加えない。
それは、ナルトを「九尾という化け物の兄をもってしまった、哀れな子供」とみているからに過ぎない。兄弟仲も悪いと、勝手にそう認識してるからに過ぎない。
ナルトと仲がいいことを見られれば、自分の勝手なイメージだというのに、裏切られたと感じて、カトナを攻めたてて、面倒くさいことになる。けれど、ナルトはそんなことを無視して近づいてくるだろうから、守るためには落第したくない。
挽回は、出来るかどうか。
……普通の人ならできるだろうけれど、カトナには出来ないだろう。しようとしても、減点させられる。評価は厳しい。
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ