アカデミー編
落第
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伏せる。
どうやら今回は、何も仕掛けられていないらしい。
安堵しつつ、前回の義手と見比べる。
いくらか大きくなったらしい。少年だから……というより、忍びになるために特訓しているお蔭もあって、成長も早いのだろう。この義手を装着するであろう彼の姿を思い出し、少しだけ頬が緩んだ。
そんな一瞬の隙すらも見逃さないサソリは、イタチに向けて、苦無を放った。
カキンッという音と共に、苦無が落とされる。
サソリは落ちた苦無を無表情のまま見つめ、イタチの顔色をうかがう。
「…随分とその子供がお気に入りらしいな。木の葉の里に残してきた弟でも思い出したか」
「……黙れ」
次の瞬間、イタチの目が赤く光る。
写輪眼。
自分では相性が良くないそれに、ちっと舌打ちをした後、サソリはもとの傀儡へと向き直る。
興味はあるが、首を突っ込んで自分の永遠の芸術を壊してほしくはない。
「どちらにしても、あまりいれこむなよ。俺達は傭兵集団、暁なんだからな」
「…分かっている」
言葉を返し、イタチは足早にサソリの工房から離れる。途中、サソリの横の部屋から、凄まじい爆発音が聞こえたが、気にもとめず、その場を走り抜ける。
いずれ、暁は九尾を狙う日が来る。
その時、九尾を持つと噂されるカトナをつかまえにいく日がくるだろう。
そしてカトナが捕まれば、芋づる式にナルトの存在が知られ、……サソリはナルトの両腕が自分の傀儡であることを知る日が来るだろう。
イタチはその時点で、裏切り者とみなされ、トビの……うちはマダラの監視が出来なくなる。
その日までに、はやくはやく、サスケに会わなければ。
サスケが復讐を果たし、里の英雄になる未来をつくらなければ…。
サスケが英雄になれば、サスケの言葉を聞こうとする人間が増える。それで、カトナを守ろうとさえ思ってくれれば、それでナルトが人々に受け入れられさえすれば、それだけで、イタチは自分が死ぬ意味があるとさえ思う。
自分がしたことは許されるはずがない。赦しを得ようという気もない。
サスケに殺されることは贖罪ではない。ただの、身勝手な我儘だ。
けれど、弟であるサスケが悪人ではなく、英雄として木の葉の里に立つ日があれば。
カトナが当たり前のように泣いて、笑えて、女だということを晒せる日が来れば。
ナルトが九尾の人柱力だといって、それでも里の住人がナルトを受け入れてくれるような日があれば。
それさえあれば、もう、イタチは死んでもいいと、死んでそうなる未来が訪れるというならば、死ぬことこそがいいと思うのだ。
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