アカデミー編
落第
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先は絶望的だ。
それもいいいかなと、カトナが思考を放棄しようとした瞬間、
「カトナ」
後ろから声がかけられる。
聞き覚えのあるけれど、あれ以来気まずくて、あまり近寄れなかった。
…ネジ。
緩慢な動作で振り向いて、後ろにいるのが彼だという事に気が付いたカトナは、少しだけ顔を下に向ける。
今は会いたくない。悪いのは自分だ。勝手に罵った自分だ。謝らなければいけないと分かっているのに。それでも、足も、手も、動かない。
それでもネジに謝ろうと頭を下げようとし、
「…俺はお前のライバルになる」
「へ」
いきなり、そう言われた。
きょとんと、目を見開いたカトナは、信じられないようなものでも見るような目でネジを見た。
最近まで会話もしていなかった人間に、突然、なんの脈略もない言葉を言われれば、カトナのように誰でも驚くだろう。
呆気にとられながらも、カトナは言葉を絞り出す。
「なに、いって?」
「お前は、自分の性別に、コンプレックスを持っている」
自分の弱点を突かれ、カトナは黙り込む。
カトナは女であるという事にコンプレックスを持っている。
それは男よりも劣っていると思っているからだ。ならば、男と対等だと気づかせればいい。自分は強いのだと気づかせればいい。
男と対等だと気がつかればいい。
そうするためには何をするべきか。男と戦って勝てばいい。
けれど、今のカトナには明確な、れっきとした敵が、自分が対等だと思える敵がいない。
九尾の人柱力として彼女を見る人間は、もちろん、対等ではない。敵ではあるが、対等ではない。
彼女を女だと知る人間は、対等だが、味方しかいない。
カトナには、対等な敵がいない。
「…うちはサスケは、お前にとって唯一無二の味方だ。ライバルになることはないだろう」
唯一、カトナのライバルになれそうなサスケも、カトナの味方で、ナルトのライバルだ。
だからこそ、ネジはカトナのライバルになる。
対等になって、競い合って、時にはお互いを守りあうそんなライバルになる。
そんなライバルになれば、カトナの弱点を克服できるはずだと、ネジはそう思った。
…カトナにそこまでする理由が、ネジは自分にあるかどうかは分からない。
ネジはカトナとは中途半端な関係だ。知り合いではある。けれど、友人かと言われると首をかしげる。恋人なんて関係ではもちろんない。
だから、ネジがそこまでカトナの為にしなければいけない理由はない。
けれど、だけど、カトナを追い詰めたのは自分なわけで、それ以上に女だと知っているのは自分だけなのだ。
赤い髪の毛を揺らして俯くカトナが女だと知っているのは、サスケなどを除けば、自分くらいなものだということを、ネジだっ
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