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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百三十六話 嫌がらせ     
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達からは新規に造った方が金はかかるが安全だろうという意見が出ている」
「なるほどな、そう簡単ではないか」
リッテンハイム侯が頷いた。意外に面倒な事だ。

「まあ開発用の移動要塞は長期に亘って使う事になる。それに小型だから建造期間も短ければ費用もそれほどではない。新規に造っても十分に元は取れよう。運用実績が良ければ量産する事も考えている」
「上手く行って欲しいものだ、辺境星域の開発は急務だからな」
互いに顔を見合って頷いた。

辺境星域の開発は急務だ。イゼルローン回廊が解放されれば同盟領から交易を求めて商船がやってくるだろう。これまで放置されてきた辺境星域の住人にとって同盟の産物がどのように見えるか……。憧れ、羨望だろう。そして自分達の貧しさに嘆きこれまで放置した政府を憎悪するに違いない。

辺境星域の開発に力を入れなければならない。放置すれば辺境星域は帝国よりも同盟に親近感を持つ事になるだろう。そうなれば帝国の安全保障は著しく不安定なものになる。我らは改革を推し進め積極的に国内開発をする事でのみ生き残れるのだ。

「和平を結んでも同盟との戦いは終わらぬな、ブラウンシュバイク公」
「そうだな、戦いの形が変わるだけだ。気を抜く事は出来ぬ。しかしそれで良いのかもしれぬ、最近ではそう思うようにしている」
「……」
リッテンハイム侯がじっとわしを見ている。

「統治者が気を抜くなど許されぬ事ではないかな、リッテンハイム侯。気を抜けば何時足元が崩れるやもしれぬ、帝国は一度滅びかけたのだ、それを忘れてはなるまい」
「確かにそうだな。気を抜かぬためにも同盟は必要か、因果な事だ」
リッテンハイム侯が溜息を吐いた。確かに因果な事だ、繁栄するためには敵が必要とは世の中は皮肉で満ち溢れているらしい。さて、アマーリアが待っているだろう、報告に行くか……。



帝国暦 487年 11月 25日  ヴァルハラ星域  ガイエスブルク要塞  ラインハルト・フォン・ミューゼル



司令室のスクリーンからブラウンシュバイク公の姿が消えるとオフレッサーが太い息を吐いてから俺に視線を向けた。
「ブラウンシュバイク公より改めて反乱鎮圧の命が下った。ミューゼル、全軍をここに集結させろ」
「はっ」
「どの程度かかる?」
「二日程で集まれます」

俺の答えにオフレッサーは“そうか”と答えた。ガイエスブルク要塞を改修し通常航行でヴァルハラ星域近くまで運んだ。そして最終試験でガイエスブルク要塞をワープで帝都オーディンの傍まで運んだ。神経質なまでに注意しながらの試験だ、随分と疲れた。味方が集まるまでの二日間、少しは休息出来るだろうか……。

「イゼルローン要塞攻略の目処が立ったとブラウンシュバイク公は喜んでおられたが問題はこれからだ」

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