SAO編
シェフ捕獲
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十はレベルが上よ、クラディール。それから、ポート君。あなたも来るでしょ?」
ラッセルと名乗ったその青年とフレンド登録をしていると、慌てたように例の男がアスナにつっかかっていた。その大声に驚いてアスナを見やると、うんざりしたような顔をした彼女と目が合う。言われた言葉に訳も分からず頷くと、クラディールと呼ばれたそいつがさらに目を爛々と光らせた。よく分かっていない様子の俺に、アスナが食材レベルに免じて部屋を提供してくれる旨を伝えてくる。それでようやく得心がいった。なるほど。
「お待ちください、アスナ様!その男に限らず、こちらの男まで……それにわたしがこんな奴らに劣ることなど……」
「無いって?」
「そうだ!野蛮なお前らになど劣ることはない!」
俺がかぶせるように言った言葉に過剰に反応して、クラディールがこちらを睨みつける。ここが現実世界ならば唾がいくらか飛び散っているであろうその形相はお世辞にも《血盟騎士団》に身を置く高レベルプレーヤーのものだとは思えなかった。思わず苦笑がこぼれて、さらに向けられた眼光が厳しくなる。いつのまにやら隣に来ていたキリトと目が合うと、互いに眉を下げて笑った。
「ひどい言われようだな、キリト」
「いや、お前も入ってるから」
「キリト……そうか、手前《ビーター》だろ」
「ああ、そうだ」
キリトの名前から察したように、蔑称を口にしたクラディールにたまらない不快感を抱く。アスナの眉も不機嫌そうにしかめられていた。唯一表情を崩さなかったキリトが眉一つ動かさずに肯定すると、勢いづいたクラディールはさらにアスナに言い募る。
「アスナ様!こいつなんて自分さえよけりゃ良いと思っているような奴ですよ!こんな奴と関わるとろくなことが無いんだ!」
「ク、クラディールさん。そこまでにして下さい」
いい加減に見かねたラッセルがクラディールをなだめるように仲裁に入る。しかし聞く耳を持とうとしないクラディールは相も変わらずアスナに詰め寄っていた。気づけば辺りの注目を浴びていて、聞き覚えのある単語がいくつか聞こえてくる。その中には騒ぎの中心である彼女の名前も含まれていて、いい加減にアスナも苛立ちを見せ始める。その様子に、今まで下手に出ていたラッセルが、アスナに目配せをすると彼女が意図を理解したように語調を強めた。
「ともかく今日はここで帰りなさい。副団長として命令します。……ラッセル。お願い」
「了解しました。お疲れ様です、副団長」
「ありがとう。ほら、キリト君行くよ!ポート君も!」
クラディールには素っ気なく、ラッセルには軽く表情を緩めて言い放ったアスナは左手でキリトのベルトを持つと、右手で俺の胸当ての背中部分にある止め紐を掴んで歩き出す。ぐいぐいと俺たちを
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