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SAO編
シェフ捕獲
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表示されたレアアイテムの名前をちらりと見たエギルは、すこし納得のいかなそうな顔で俺たちを見た。

「しっかしお前ら、別に金に困ってはねえんだろ?自分たちで食おうとは思わんのか?」

「そりゃ思ったさ。つーか俺は生でも食う気だったんだぜ?でもキリトが……」

「止めたんだ。それにこんなアイテム扱えるほど料理スキル上げてる奴なんてそうそう……」

「キリト君。ポート君も」

 心底落ち込む俺と、残念そうにしながらも諦めた様子で頭を掻いていたキリトの双眸が、後ろから聞こえた綺麗なソプラノの女の声にきらりと輝いた。キリトが自らの左肩に触れたままだった彼女の手を掴んで、振り向きざまに俺を軽く見る。にやり。二人であくどい笑みを浮かべた。我ながら怪しい自覚はあるので、通報はしないでいただきたい。

「シェフ捕獲」

「よくやったキリト」

「な……なによ」

 状況を飲み込めずにいぶかしげな顔で手を掴まれた栗色の髪を腰まで伸ばして細身の体を白と赤を基調とした騎士服に身を包んだ美少女――アスナが、後ずさった。かと思えば軽く世間話を始めたふたりからアスナの後ろに構える騎士然とした二人の男に視線を移す。彼らはおそらくアスナの所属するギルド《血盟騎士団》から派遣された護衛なのだろう。それなりに顔の知れ渡っているアイドル的存在のアスナだ。理由は考えるまでもない。

 特に右側に立つ、溢れ出る殺気を隠そうともせずにアスナと親しげな様子のキリトを睨み付ける長髪の男に意識を集中させた。キリトがアスナの名前を口にする度に、ぴくぴくと引き攣る顔。嘆息したくなる気持ちを抑えて、満面の笑みを浮かべてやる。俺、こいつ嫌いだ。

「おいあんた!そーんな怖い顔してっと、禿るぞ?」

「……」

「おーい!聞いてるか?おーい!」

「……」

「……ふーん」

 むさくるしい男とは話したくありません、てか。じっとキリトを睨み付ける男が自分に向けられる敵意に気づいたのかどうかは分からないが、笑顔で話しかける俺を一瞬見て、またすぐにアスナに視線を戻した後に、そいつが俺を警戒したようには見えなかった。だから、まあ、そういうことだろう。
苦笑しながら少し視線を逸らすともう一人、アスナの左側に控えていた青年がその長髪の男の対応に、すこし困ったように俺とそいつを交互に見ていた。たまたま目が合うと、少し申し訳なさそうに小さく会釈をしてくれた彼とは友達になれそうだ。その青年には作ったものじゃない笑顔を向けて、気にしてない、というように軽く手を振っておいた。

「ア……アスナ様!こんなスラムに足をお運びになるだけに留まらず、素性の知れぬ奴をご自宅に伴うなどと、と、とんでもない事です!」

「このヒトは、素性はともかく腕だけは確かだわ。多分あなたより
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