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SAO編
シェフ捕獲
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ない俺は向けていた視線をエギルに移して、トレードウインドウを見せる。その頑健な顔の分厚くせり出した眉の下、その両目でじっくりと三分ほどおれのドロップ品を吟味したエギルが、慎重にあたりをつけた金額を口にする。

「十コル」

「ワーム狩るより安い!?」

 間髪を入れずに突っ込んだのは言うまでもない。ぼったくりを通り越してもはや闇金レベルの金額だ。

「まあそれは冗談として……これなら千三百コルが妥当だろうな」

「千三百……。一番下も売ったら?」

 促されるように一番下に画面をスクロールしたエギルは、そこに表示された名前に驚いたように目を見開いて俺をまじまじと見つめた。

「一番下って……お前これ、S級のレアアイテムじゃねえか。《ラグー・ラビットの肉》……俺も実物を見るのは初めてだ。売るとしたら、そりゃ、二十万は下らないだろうな」

「そうか……」

 アイテムの一覧を眺めながら、考え込む俺にキリトが釘をさす。相変わらず抜け目がない奴だ。がやがやと喧騒が俺たちの間に横たわる沈黙をまたいでいく。じとっと俺の意図を汲んだうえで向けられるその黒い瞳から、しらっと視線を逸らした。

「おいポート。お前、売ったら割り勘にしろよ?」

 とうとうがしりと掴まれた肩に、しかし視線は逸らしたままぽつりと申し訳程度の反応を返す。その様子にいろいろ察したのだろうエギルは、カウンターに肩肘をついて傍観を決め込んでいた。おいエギル、助けてくれ。

「……背に腹はかえられん」

「意味わかって言ってるか!?」

「俺に分かると思うのか。つーかキリト。お前金持ってんだろ?良いじゃんたった十万コルぐらい譲ってくれても!」

「たったってなんだ……。それに見つけたのは俺だろ?」

「でも仕留めたのは俺だし!」

「俺の索敵スキルがなきゃ見つけられなかっただろ!?ポートの熟練度いくつだ」

「うっ……い、いや、ハイディングぐらい見破れるし」

「いくつだ」

「……完全習得してるし」

「ポート」

「……」

「おい」

「きゅ……九百三十…」

「ほれみろ」

 ぼそりと根負けした俺が呟くように白状した熟練度に、キリトが勝利を確信した時のような笑顔を浮かべる。プレイヤーの未熟なそれならその限りではないが、完璧なハイディングを見破れるのは熟練度が九百五十以上の索敵スキルだけだ。ここ最近、そのあまりの地味さに飽きてしまった俺が索敵スキルの修業をさぼり気味だったのがいけなかった。

「だああっ!もう分かったよ。エギル、割り勘にするから買い取ってくれ」

 両手を上げて降参のポーズ。「参ったか」と、ドヤ顔を決めるキリトの足を思い切り踏みつけてエギルにトレードウインドウを示した。そこに
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