2部分:第二章
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もならないまでの心の乱れようであった。
「何処に」
「アポロン様」
そこに彼を心配してやって来た者がいた。忠実な従者である烏だった。
「お話は聞いていますよ。青い太陽の花ですよね」
「そう、青い太陽の花なんだ」
アポロンは神殿の奥で石の椅子に座って項垂れていた。しかし彼の言葉に顔を向けて応えた。表情も項垂れて暗く沈んだものになっていた。
「探してもない。何処にあるのかさえも」
「青い太陽の花」
烏はここで考える顔をアポロンに見せてきた。そのうえで呟いた。
「ひょっとすると」
「心当たりがあるのかい?」
「ひょっとするとですよ」
そう主に断る。
「あの花かな、って思うんですよ」
「あの花って」
その言葉を聞いて半ば無意識のうちに身を乗り出していた。そうして烏に問う。
「どんな花なんだい!?教えてくれ」
「少し待って下さい」
烏はこう答えてきた。焦る主に対して彼は穏やかな顔をしていた。
「その花を持って来ますので」
「うん、頼む」
アポロンは烏にその花を持って来てくれるように頼んだ。それから暫くして烏は青く小ぶりな、丸い花を持って来たのだった。アポロンはその花を見て言った。2
「その花がそれなのか」
「野原の片隅に咲いていたんです」
烏は主にその花を差し出して言った。
「まだ生まれたばかりで広まってもいないみたいですけれど」
「そうなのか。それで見つからなかったのか」
「多分。そうだったかと」
「名前もないのかい?」
アポロンは今度は花の名前を問うた。しかし烏はこの問いに首を横に振った。
「わかりません。生まれたばかりですから多分」
「そうか。何もないんだな」
「そうなんです。けれどアポロン様」
烏はまた言った。
「これをその人に差し上げればそれで」
「そうだ。それじゃあ」
「すぐに行かれるといいです」
急かすようにして言う。アポロンもその花を受け取って頷く。そうしてそのままルーマニアのフロリロールのところへ向かうのだった。
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