昔時の水晶玉
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「灰竜の―――――咆哮ッ!」
「うにゃあああっ!」
吹き荒れる灰色の風に悲鳴を上げながらポワソンは咆哮を回避する。
また避けられた、と思いながら、ココロは小さく首を傾げた。
(あれ…?何であの人、何もしてこないんだろ?)
「くっ」
飛び交う鎖を避けつつ、クロスは全てを斬るように薙ぎ払う。
彼は知らないが、これは“極悪なる拘束者”ヒジリ・ファルネスが扱う拘束だ。
「換装!雷光の剣!轟け!黒き稲妻よ!」
掲げた剣の切っ先に魔法陣が展開し、黒雷が落ちる。
それをパラゴーネの得意とする重力操作で防いだシェヴルは水晶玉を両手で抱えた。
「魔轟爆陣!」
「ああああああっ!」
“氷爆”ザイール・フォルガの必殺技が炸裂する。
まともな防御態勢も取れずに爆発を喰らったクロスは痛みに表情を歪め、地に落ちた。
着地したクロスは大きく息を吐くと、駆け出す。
その両手が光に包まれた。
「換装!双竜の剣!」
右手に炎属性の剣、左手に氷属性の剣を握りしめ、空気を裂くように剣を振る。
右の剣からは炎が噴き出し、左の剣からは冷気が噴き出す。
煙の中から現れたシェヴルを視界に捉えた瞬間、クロスは剣を構えた。
「ハアアアアアッ!」
「ぐぅっ!」
右、左、宙返りしてからの炎と冷気の遠隔攻撃。
シェヴルは表情を歪めると、後方へと跳んだ。
クロスも後方へと跳び、距離を置く。
「チッ…厄介な」
「お喋りしている暇があるのか?」
「っ!」
その呟きに、クロスは唐突に気づく。
シェヴルの水晶玉から、光が零れている。
赤、青、緑――――――その色の数は8。
水晶玉から放たれる魔力に、嫌な予感がした。
(これは…惑星力か!?)
纏う魔力は、普通とどこか違う魔力。
時々サルディアから魔法学の本を借りて読むクロスが脳内検索してその魔法にヒットするのに、時間はかからなかった。
惑星の力を借りて戦う太古の魔法―――――――。
(だとしたら、マズっ……!)
嫌な予感が確信になり、出来る限り距離を取ろうとしたが―――――既に遅かった。
シェヴルの空色の瞳が輝き、水晶玉から零れる光が強くなり、魔力が肌を撫で――――
「天体の交響曲」
呟く声が、聞こえた。
視界いっぱいに光が溢れ、目を開けておく事も不可能になる。
「―――――――――!」
声が、爆発音に似た激しい音に掻き消される。
光が治まり、シェヴルが前を見据える。
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