昔時の水晶玉
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を、アランは視界に捉えた。
電撃を纏った拳を引っ込め、すぐさま回避行動に移る。
「グランバースト!」
が、それより早く、キャトルの砲撃が放たれた。
暴風を圧縮した砲撃は真っ直ぐにアランへと向かう。
「っ暴風螺旋!」
回避じゃ間に合わないと悟ったアランは、表情を歪めた。
両腕を顔の前でクロスさせ、その腕に竜巻のように回転する螺旋状の風を纏い、砲撃に備える。
砲撃は迷う事無くアランに直撃した。
「う、ぐぐぐぐぐ……はああああっ!」
叫び、両腕を振り下ろす。
十字に裂くように暴風の砲撃が大きな音を立てて破壊され、肩で息をする。
桃色の瞳で真っ直ぐにキャトルを睨みつけるアランを見据え、キャトルは息を吐いた。
「戦うのならナツ・ドラグニルのような、肉弾戦を得意とする強者相手が良かったんだがな……こんなガキだとは」
「一応僕は肉弾戦専門なんですけどね…それに僕としても、女性を殴るのは避けたいんですけど」
キャトルの言葉に困ったように笑うアラン。
が、すぐに顔から笑みが消えた。
両拳を構え、呟く。
「妖精の尻尾の敵なら、女性を殴っても失礼にはなりませんよね?」
ブオン!と空気を裂くような音が聞こえた。
その音が耳に届いた時には次の攻撃が頭上を掠め、そちらに意識を持って行かれていると右下から左からを斬り上げられる。
「口の堅い……姉さんの行方さえ教えてくれれば一撃で済ませるというのに」
呆れたようにクロスは呟き、ふぅ、と息を吐く。
こちらが無傷なのに対し、彼と敵対するシェヴルはボロボロだった。
髪は長さが整わずバラバラだし、ワンピースも髪同様に丈が違う。右脹脛辺りにはバツ印の傷が入り、ブーツはもうブーツと呼べず、そもそも靴としての役割を果たしていなかった。
「貴様…女相手にここまでやるのか」
「敵に男も女もあるまい。それに、俺は姉さん以外の女がどうなろうと興味ない」
睨みつけてくるシェヴルに、クロスは冷ややかに告げた。
勿論仲間であるルーシィ達や同じチームのサルディアとヒルダも大切に想ってはいる。
が、誰よりも大事なのは双子の姉。
姉の為なら何だってする―――――それがクロスだ。
「姉さんはどこだ。とっとと答えろ」
「言う訳が、ないだろう……ティア嬢は私達の狙いだ。あの娘がいなければ、計画は成功どころか始まりもしない」
「そんなの知るか。貴様等の計画なんざどうでもいい」
その手に新たな剣――――――飛燕の剣を別空間から取り出し、構える。
萌黄色に似た色合いの剣身を煌めかせ、スッと瞳から感情が消えた。
それに気付いたシェヴルの手に、水晶玉が現れる。
構わず、クロスは地を蹴った。
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