志乃「納豆ってさ、人類の神秘だよね」
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た?」
「あのさ、今日カラオケ行かない?」
五十嵐の言葉はかなり唐突だった。いや、口ごもったり遠まわしに表現しない辺り、こいつのハキハキした性格が十分に表れていると言える。
だが、いきなりカラオケに誘ってくるとはどういった理由があるんだ?もしかして理由も無かったりして。
とか思っていたら、理由はすぐに五十嵐の口から語られた。
「この間、他の人に事件の事話しちゃって迷惑かけちゃったでしょ?結果オーライだったかもしれないけど、やっぱり申し訳なくてさ……。だから一緒にカラオケどうかな〜なんて思って」
そこで五十嵐は少し恥ずかしそうにはにかんだ。なんだこいつ、めっちゃ可愛いじゃん。そう素直に思えたのは年上であるが故だろうか。
「いや、全然気にしなくて良いよ。ここの奴らとのやりづらい雰囲気も取れたわけだし。でもそうだな、たまには他の奴と行くのもありだな」
「ホント?じゃあ葉山さんと三人で行こうよ!」
五十嵐が顔に満面の笑みを張り付ける。少し前までの緊張して強張った顔はどこにも見受けられない。きっと断られたら、それこそ本気でしょげた顔をしたんだろうな。
「んじゃ、志乃にも聞いてみるか」
俺はロッカーのドアを閉め、五十嵐を連れて掃除をしている志乃に声を掛けた。
「志乃、これから五十嵐とカラオケに行くんだけど、お前もどう?」
「私はいい」
出ました即答。こういう時は食い下がらないで終わらせておくのが妥当だろ。
「了解。んじゃ、ちょっと帰り遅くなるから、母さんに伝えといてくれよ」
その言葉に志乃はこくりと頷き、それ以降は黙々と箒でほこりや消しカスを集めていた。不機嫌、じゃないよな?そうだと思いたい。
「じゃ、行くか」
「え、本当に良いの?」
「おう。それに、いても一曲も歌わないから」
俺と一緒に行く時も、ずっとジュース飲んでるだけだからな。でも、それでも一人よりは気分が良いのは事実だ。
だが、今回は妹や友達ではなく、一つ年下の女の子とカラオケに行く事になった。これってある意味充実してんじゃね?
*****
野球部の掛け声や吹奏楽部の練習がBGMとなって各々の放課後をリズムよく彩っている。近くにある道場からは、柔道部の野太い声や剣道部特有の奇声が漏れており、俺の中学時代を彷彿させた。
そんな中、俺は生まれて初めて妹と幼馴染以外の女子と一緒に下校を共にしていた。まさかこんな日が来ようとは思ってもいなかった。ひとまず万歳。
だが、俺はそこで一つの疑問を感じ、それを五十嵐に聞いてみた。
「そういや、この辺ってカラオケ店そんなにある?俺達が会ったあそこは使えないんじゃないのか?」
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