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相棒は妹
志乃「私がしたいのは、兄貴と一緒に一つの動画を作ること」
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を続けながら、俺は警察署へと足を進めていった。やがて警察署入口までやって来たのだが、間近で見る警察署の全体像は、やはりこれまでの建築物とは一線を越えた物だった。これを設計した人はよほど個性を持っているんだろう。

 そんな事を思いながら、川島さんと一緒に署内に入る。そして川島さんが俺を説明し、予定通りに表彰式が行われる事になった。

 俺は川島さん含めた合計5人の警察官(男)と共にエレベーターに乗り込み、五階へと向かう事となった。やっぱり、あの細長い部分は飾りじゃなかったのか。

 ……にしても暑い。暑苦しい。四月の上旬とはいえ、もともと狭かったエレベーター内に俺含めた六人の男が一気に入り込んだんだ、これで涼しい顔していられる方がおかしい。

 中でも川島さんの『暑苦しいぜ』オーラがハンパじゃない。他の警察の人は少し額に汗を滲ませている程度なのに、川島さんだけ猛烈に汗を流してる。やっぱこの人暑がりなんだ。

 やがて俺と警察官五人を乗せたエレベーターは五階まで到達し、俺達はそこでようやく暑苦しい空間から解放され各々が安堵の息を吐いていた。……川島さん、団扇二つ煽ぐの止めようや。これでもまだ四月なんだからさ。

 そんな川島さんを放っておくように、他の警察の人達が俺を目的地に促してくる。俺も断る必要が無いので素直について行く。

 縦長に伸びている異質な五階は、外部の光を完全にシャットアウトしており、天井の電気だけが俺達の視界を確保させてくれていた。まるでドラマの研究室のような奇妙な薄暗さで、自然と暑さも和らいでいく。

 縦長という事で通路は曲線になっていて、内側には先ほどからいくつかのドアを確認している。きっとその中のどれかで俺は表彰されるんだろう。

 改めて気を引きしめ、俺は少し先を行く男たちの後ろを緊張した面持ちで歩き続ける。

 だが、いつになっても眼前の男達がドアに入ろうとせず、俺は声を掛けようか迷っていた。もちろん、相手に対してこう問うつもりだ。

 『もしかして、迷子ですか?』

 と。

 もしそうだったとしたら、俺は笑う以前に呆れに呆れることだろう。だって、自分の所属してる署内を把握していないんだぜ?そんなのあり得ない以上にバカらしいだろ。

 そんな自分の常識を必死に押し込み、俺はあえてその言葉を発さず淡々と歩き続けた。すぐ隣には川島さんがいるのだが、この人はさっきから団扇を煽いでばかりで正直意味が無い。

 そして、俺達は歩き続けて歩き続けて歩き続けて――


 「あっれ、表彰に使う場所ってどこだっけ」「知らねえよ、俺何も聞かされてないし」「じゃあ何で五人も来てるわけよ」「……さぁ?」

 ――五階を一周していた。

 呆れて物も言えない俺の隣で、我関せずといっ
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