第五章 友と明日のソラ編
最終話 別れのソラ
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「そうだよ。 それに、ルチアちゃんも、奈々ちゃんも! どうして言ってくれなかったの!?」
「紗智‥‥‥」
二人の説教に対して、ルチアは頭を下げながら言った。
「ごめんなさい。 本当は言いたかったけれど、別れが寂しくなるから、言えなかったのよ」
「ルチアちゃん‥‥‥」
紗智は頭を下げるルチアの傍に歩み寄ると、そのまま優しく、ギュッと抱きしめた。
目を見開いて驚くルチアに対して、紗智は堪えきれなかった涙を流しながら言った。
「当然、だよ! 私、ルチアちゃんと離れたくないよぉ! 翔とも、奈々ちゃんとも、離れ離れになりたくないよぉ!! ずっと一緒にいたいよぉ!!」
「紗智‥‥‥」
ルチアも、まるで伝染ったかのように涙を零した。
紗智はルチアにとって、初めての女友達だった。
時には好きな人を求めて争う関係でもあった。
それでも、大切な友達だったはずだ。
別れるのは、辛くて当然だ。
「お兄ちゃん!」
「ミウちゃん‥‥‥」
右手で胸を握り締めながら、ミウちゃんは俺に言った。
「お兄ちゃん、ありがとうね。 お兄ちゃんのおかげで、私は外の世界をでられるようになった。 世界が広がった。 それは全部、お兄ちゃんが私を助けてくれたからだよ! ずっとずっと、ありがとうって言ってたけど、これが最後だから、ちゃんと言いたかったの。 お兄ちゃん、私を助けてくれて――――――ありがとう。 元気でね」
「ああ。 ミウちゃんも、ショコラも元気で」
「うん!」
小さな花が満開に咲いたように、ミウちゃんの笑顔は綺麗で可愛かった。
俺は彼女のこの笑顔を、二度と忘れないだろう。
そして次に前に出たのは、静香さんだった。
「翔さん。 短い間でしたけど、あなたといられてとても楽しかったです」
「俺もです。 静香さんは、この町に来て何もわからない俺に、この町のことを色々と教えてくれました。 本当に感謝してます」
「いえ、私も翔さんから色々なことを学びました。 互いに、色々と大変でしょうけれど、頑張ってください。 お元気で」
「はい。 静香さんも、お元気で」
桜の花びらのように、美しくも儚い笑顔を、俺は忘れないだろう。
そして次に前に出たのは、瞳さんだった。
「翔には、色々とお世話になったね。 私の因縁にも区切りを打ってくれた。 私の我侭に付き合ってくれたこと、感謝してるよ」
「いえいえ。 俺だって、瞳さんから色々なことを教えてもらいました。 瞳さんがいなかったら、俺は間違った答えを出していたのかもしれません。 ありがとうございました」
瞳さんは、魔法使いとして未熟だった
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