第五章 友と明日のソラ編
最終話 別れのソラ
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ったって心の底から思う」
「そうなんだ‥‥‥」
奈々は、嬉しそうで、どこか辛そうな表情を見せた。
それは多分、俺が変わったことへの喜び、自分が俺の人生を変えてしまった後悔が混じった表情なんだ。
俺はそんな奈々の表情を、これから何度も見ることになるだろう。
それを受け入れながら、俺は話し続ける。
「だけど、俺を変えてくれたこの町だからこそ、俺はこの町に甘えちゃいけないんだ。 だから俺はこの町で得たことを生かして、前に進んでいきたいんだ」
「‥‥‥お兄ちゃんらしい答えだね」
「ほんとね。 翔なら、そう答えるわよね」
「そりゃどうも」
雑談を交わしながら、俺たちはこの町を歩き回った。
今までに行った場所は、一通り回っている。
それなのに、友人である、紗智達を見かけない。
メールや通話でも良いのだが、やっぱり直接、別れを告げたかった。
それも叶わないのなら、仕方ないか‥‥‥。
「お兄ちゃん。 そろそろ時間だから、駅に行こ?」
「‥‥‥分かった」
そして時は過ぎ、俺たちは駅に向かった。
***
<PM17:50>
電車が来るまで残り十分。
駅に着いた俺たちは切符を購入し、改札口を通るとホームに設置されている椅子に座って、電車が来るのを待った。
俺たちは、どこか落ち着かなかった。
あと少しで、この町から離れてしまう‥‥‥その事実が、俺たちの心を震わせる。
今になって、この町を出たくないなんて思ってしまう。
悲しいけれど、俺たちは受け入れなければならない。
それを分かっているにも関わらず、この中で誰一人、落ち着くことができなかった。
それでも刻一刻と時が過ぎて、電車が来るまであと少しだった。
――――――その時、俺たち三人の耳に、聞き覚えのある男女の声を聞こえた。
「翔ッ!! ルチアッ!! 奈々ッ!!」
俺たちは反射的に椅子から立ち上がると、その声の方向を振り向く。
するとそこには、こちらに向かって走ってくる、仲間たちの姿があった。
三賀苗武、桜乃春人、桜乃春人、小鳥遊猫羽、井上静香、斑鳩瞳。
皆が走って、ここに来た。
「皆‥‥‥どうして?」
「どうしてはこっちのセリフだバカ野郎!! なんでなんも言わずに出ていこうとするんだ!?」
早々に俺は、武に胸ぐらを掴まれて、怒鳴られた。
恐らく他の皆も同じようで、春人や紗智もその表情は怒りに満ちていた。
「翔が何も言わないのはいつものことだけど、別れの時くらいは言ってくれてもいいんじゃないか?」
「春人‥‥‥」
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