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魔法使いの知らないソラ
第五章 友と明日のソラ編
最終話 別れのソラ
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、過去にけじめをつけた時から分かってたし、受け入れていたことだ。 奈々の実家に帰る日はすぐになるって」


そう。 俺は今日、静香さんの卒業式が終わった後、この町を出ていくことになっている。

そして義妹、護河奈々の実家に帰るのだ。

実は俺がこの町を出ていくことを、俺は誰にも言ってなかった。

だけどルチアが知っている‥‥‥と言うことは、間違いなく奈々がルチアに言ったのだろう。

だから俺は、ルチアが知っていることには特に驚きはしなかった。

けれど、そのあとにあったのは隠していたことへの罪悪感だった。


「ごめん。 中々言えなくてな」

「分かってるわよ。 翔は最初からそうだった。 相手を苦しめないように、悲しませないように、隠すことへの罪悪感を一人で抱え込む。 ええ、本当にあなたらしいことね」

「‥‥‥流石だな。 その通りだよ」


この町に来て、ルチアと出会って、大体六ヶ月といったところだろう。

そのたった半年の間で、ルチアは俺のことを恐らく誰よりも理解している。

彼氏彼女となって、その理解はさらに多くなった。

今では互いに分からないことは少ないだろうと言えるくらいだ。

それでも俺は、彼女に隠し事をしてしまう。

それはルチアの言った通り、ルチアを寂しがらせたくなかったからだ。

別れを告げて、離れたくないのは俺だって同じだ。

同じだからこそ、ルチアに同じ想いを抱えて欲しくなかった。


「今更、怒りはしないわ。 でも、もっと早く言って欲しかった」

「ごめん‥‥‥」

「‥‥‥もういいわ。 翔がどれだけ隠しているのが、別れが辛かったのかを考えたら、あなたを怒れないわ」

「‥‥‥そう、か」


ルチアの優しさは、逆に俺の心を締め付けていた。

でもそれが、隠していた俺への罰なのだろう。

そう思いながらルチアを見つめていると、ルチアは微笑みを崩さずに、俺に言った。


「ねぇ? 精霊がどこから現れたかって知ってる?」

「え!?」


唐突だった。

全く関係のない話題だし、あまりにも唐突だったため、俺は呆気にとられた。

そんな俺を見つめながらルチアは話し出す。


「私達、精霊はこのソラから現れたそうよ」

「――――――ソラから?」

「ええ。 この世界は、実は九つに分岐しているって知ってる?」

「九つ? ‥‥‥北欧神話にある、『九つの世界(ノートゥング)』のことなら知ってるけど?」

「そうね。 それと全く同じね。 私達の世界は、その九つの世界(ノートゥング)の世界は、あのソラと繋がっていて、精霊はそこを潜ってこの世界に来たのよ?」

「そうなのか?」

「事実は分か
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