第五章 友と明日のソラ編
最終話 別れのソラ
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俺に、色々な知識を与えてくれた。
そして冷羅魏氷華のことや、ルチアのことも。
全部、瞳さんがいてくれたから答えが出せたんだ。
「事件は灯火町だけじゃない。 翔が行く場所にだって事件はある。 あなたはあなたにしか解決できない事件があるから、その時はあなたの力を発揮してね。 それじゃ、またね」
「はい。 お元気で」
そして瞳さんが下がると、武、春人、紗智の三人が俺の前に出た。
思えば、この三人が俺の最初の友達だった。
転入初日で何も分からない俺に、何の気兼ねもなく声をかけてきた。
すぐに友達になろうと言って、すぐに仲良くなった。
今までの俺にとって、この三人の存在はあまりにも新鮮で、価値のあるものだった。
俺が困った時、悩んだ時、いつだってこの三人が真っ先に助けてくれた。
この三人がいなかったら、俺は人知れず孤独でいただろう。
そして、そんな三人だからこそ、別れを告げるのは一番辛かった。
「‥‥‥まぁ、なんだ。 染み染みとした別れ話は、苦手なんだ。 だからうまく言えねぇけど、お前といれて、めっちゃ楽しかったぜ!」
「ああ、俺もだ!」
「武と同じく、俺も別れ話は苦手だ。 だけど、これだけは言える。 お前の友達になれて良かったぜ!」
「俺も、春人と友達になれて良かった!」
武、春人と最後の会話をし、残るは紗智となった。
俺の、最初の心の支えだった存在だ。
いつも何か時にかけてくれて、影で助けてくれた。
どこかで傷つけていたのかもしれない。
だけど彼女は、いつも俺に笑顔を見せていた。
俺はそんな紗智が、大切な存在だった。
恋愛感情ではなくて、友人として、仲間として。
「翔。 私ね、翔のことが好きだったの。 一目惚れで、初恋だった。 だけど、ルチアちゃんには勝てなかったな」
「‥‥‥ごめん」
「謝らなくていいよ。 翔とルチアちゃんが決めたことだから。 だから、幸せになってね! それが私の最後のお願いだから」
「‥‥‥分かってる。 ルチアを、絶対に幸せにする」
「うん。 一緒にいられて、幸せだったよ、翔」
「俺も、幸せだった。 ありがとう、紗智」
「――――――うん!」
涙を流しながらも、彼女は笑顔だった。
それが、紗智の最後の意地なのだろう。
俺は紗智の涙を、絶対に忘れない。
この涙を思い返すたびに、ルチアを愛するだろう。
誰かを失い、誰かを得たからこそ、今あるものを大事にできるのだと、紗智から教わったから。
それだけじゃない。
ここにいるみんなが、俺に色々なことを教えてくれた。
何も分からない俺にとって、皆は救いだった。
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