第五章 友と明日のソラ編
最終話 別れのソラ
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――――――相良翔が灯火町に来て、半年近くが経過し、季節は春へとなった。
「それではこれより、第**回灯火学園卒業式を執り行います」
灯火学園・体育館にて、校長先生の一言から、卒業式が始まった。
今日この日、いよいよ三年生は卒業式を迎え、この学校を卒業する。
桜が満開となり、道行く人を魅了し、気持ちを高鳴らせる季節。
彼女、井上静香を始めとする卒業生は、感極まって涙を流しながら卒業証書を受け取り始めていた。
気づけばこの日になるのはあっという間のことで、今までに起こった様々な事件は一瞬のように感じる。
そして、こう言う日だからこそ、今までに起こった過去の出来事が、滝のように溢れ出てくる。
決して良いものばかりではなかったけれど、俺たちにとってそれは、間違いなく大切な想い出だった。
それを忘れずにいることを心に誓いながら、卒業生は卒業証書を受け取る。
証書授与が終わると、卒業生代表の言葉となり、代表として静香さんが皆の前に出て一礼し、マイクの高さを調節し、優しい笑みで話しだした。
「本日はお日柄もよく、私達の門出に相応しい日となりました。 本日、この卒業式と言う日を迎えることができたのは、本日まで未熟だった私達を育ててくださいました、ご両親、教職員、地域の皆様のおかげです。 まずはそのことに深く感謝をさせていただきます」
そう言って深々と頭を下げ、さらに話しを続けた。
今日までに起こった様々な出来事、学んだこと、感謝していること。
その全てを、全卒業生を代表して語った。
誰一人、それを飽きずに聞いているのはきっと、井上静香と言う存在に対して、この学園全員が信頼して、尊敬していたからに違いない。
そしてもう二度と、彼女が前に立つ光景を見られないのだと言う事実への寂しさ。
だからこそ、最後の言葉はしっかりと聞こうと、この場にいる誰もが思っていた。
彼女の優しく、力強い言葉を、最後まで‥‥‥最後まで。
「‥‥‥では最後に、私の個人的な想いを述べます」
彼女の中でも、全生徒の中でも分かっていた。
その個人的な想いを述べ終わることが、この卒業式の終りを告げることであること。
そして、井上静香がこの学園の生徒ではなくなると言うこと。
「私はこの学園に来て、様々な人を見てきました。 それは、生徒会長と言う立場だからこそ、幅広く見れたのだと思います。 私は色んなことに必死でした。 勉学にも、生徒会にも、対人関係にも、全てが両立するように必死でした」
俺はここで思った。
多分、静香さんは魔法使いとしての活動もまた、必死で両立するべきもので、それも言いたかったのだろうなと。
それを堪えているのを
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