暁 〜小説投稿サイト〜
魔法使いの知らないソラ
第五章 友と明日のソラ編
第四話 終わる夜、始まる朝
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ら、大粒の涙が零れ落ち、朝日が反射して煌めいた。


「愛してる」

「‥‥‥俺も、ルチアのこと、――――――愛してる」


俺の返事を聞いたルチアは、そっと顔を近づける。

まるでそれが合図だったかのように、どちらからともなく唇が重なり、互いにぎこちないキスを交わした。

唇が触れるだけの、単なるキスだ。

けれどそれは俺にとって、ずっと欠けていたものを、やっと取り戻したかのような充実感を全身に与えるものだった。

そして二度と失いたくない、手放したくなくて、俺とルチアは互いにそっと抱きしめた。


「やっと‥‥‥守れた。 取り戻せた‥‥‥俺、やっと‥‥‥」

「ええ。 ありがとう、翔」


――――――『ありがとう』。

その一言が、こんなにも幸福感や満足感を与えるものだったとは思わなかった。

そして、この一言に辿りつくまで、長い道のりだったと思うと、なんとも言えない感情が奥底から溢れてくる。

だけど、今の俺が言いたいことは、ただ一つ。


「ルチア! お帰りなさい!」

「ええ、ただいま!」


守ること、取り戻すことができた、最愛の人への再会の言葉だった。

そして俺とルチア、そしてこの灯火町で巻き起こる、長い長い夜は終りを向け、新たな朝が始まるのだった――――――。



‥‥‥それから、数ヶ月後。
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