第五章 友と明日のソラ編
第四話 終わる夜、始まる朝
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を持てない、――――――戦えない。
これ以上は戦いにならないから、事実上では俺たちの勝ちだ。
‥‥‥だけど、冷羅魏は諦めていない。
それを証拠に、全身に流れる魔力は、その流れを止めていない。
俺も、このまま終わらせるつもりはない。
つまり、俺は今から、――――――彼を殺す。
「復讐は、誰にでもある。 だから俺は、お前の生き方を肯定も否定もできない」
両親から育児放棄によって捨てられ、俺と同じ様に孤児院で育った彼。
親というものを信じられず、そして親という存在を憎んでいた。
その憎しみは、魔法使いとなった彼をさらに外道の道に落とした。
もし、彼が両親に恵まれ、普通の人間の平凡な日常を送っていたら‥‥‥。
もし、俺が両親や家族を恨み、今ここにいたら‥‥‥。
もしかしたら、俺と冷羅魏の立場は、逆になっていたかもしれない。
俺と冷羅魏は、紙一重なんだ。
だから俺は、必要以上に彼を怒れない。
‥‥‥でも、今ここにいる俺が、彼に言える最期の言葉はただ一つ。
「俺はお前を倒す。 それが、ここにいる俺の立場だ」
呟くと、俺は刀を振り上げた。
振り上げた刀は白銀と漆黒の魔力が互いに交わり、一刀の刃へと変化する。
「詫びるつもりはない。 これで、――――――最期だッ!」
そして俺は、――――――刀を振り下ろした。
大罪を切り裂く一閃――――――『色欲斬る堕天使の一閃』。
振り下ろされた一閃は、冷羅魏を切り裂くと、冷羅魏は白銀の光に包まれる。
そして光に包まれた冷羅魏は、その姿を消滅させた。
優しい祝福の光に包まれ、絶望の闇に飲み込まれた冷羅魏は、この世界から消滅したのだった――――――。
***
<AM6:00>
「――――――終わったな」
「そうね‥‥‥」
朝日が登り、灯火町を明るく照らし出す。
光は俺と、俺の背中に背を預けて座るルチアの顔から全身に当たる。
「ようやく朝か」
「長い夜‥‥‥だったわね」
「ああ。 本当に‥‥‥長い、悪夢を見ているような気がしたよ」
「ふふっ‥‥‥そうね」
ルチアの微笑む声が聞こえた俺は、その微笑みを見たくて顔だけを振り向かせる。
「んッ!?」
「んっ‥‥‥」
振り向いた瞬間、俺の唇に、ルチアの唇が重なった。
柔らかな感触に、俺の頭の中が真っ白になる。
理性を取り戻そうとするが、ルチアの吐息が香り、それを許そうとはしなかった。
「翔‥‥‥好きよ」
ルチアの瞳か
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