第五章 友と明日のソラ編
第三話 光と闇の交錯 後編
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――――――俺は、いつも考える。
なぜ、誰かの為に必死になるのだろうか?
なぜ、誰かの為に命をかけるのだろうか?
なぜ、誰かの為に戦うことができるのだろうか?
灯火町に来て当初、俺は平凡な高校生活を過ごしたかった。
何より俺はその頃、護河家との一件もあったから、誰かの為に何かをする余裕なんてなかった。
そのため、魔法使いになって最初の頃は、魔法使いという世界から一線を引いていた。
誰かを傷つけると言うことに、慣れたくなかったからだ。
護河家との一件で、奈々の父親と喧嘩をしたとき。
あの時の、血が沸騰したような感覚、全身の筋肉が引き締まる感覚、呼吸が荒くなり、熱を帯びる感覚。
そして、自分が自分で無くなるような、自我が崩壊していく感覚を思い出すと、魔法使いとして戦うということが怖かった。
あの時は、奈々が止めてくれた。
だけど、奈々がいない灯火町で俺は、果たして冷静でいられるのだろうか?
その不安と恐怖で、魔法と言う異能の力を使うことができなかった。
今でこそ魔法を使うことはできるけど、まだあの時のことがトラウマで、全力で魔法を使うことができず、魔力や本気をセーブして戦っている。
この灯火町で出会う人と仲良くなり、平凡な日常を過ごすこと。
そして、立派な大人になって、再び護河家に戻ろうとしていたのが、最初の頃の俺だ。
‥‥‥変わるきっかけは、やっぱりあの日の夜だろう。
この町に来て、まだ間もない頃、魔法使いとして生きることを決意してなかった頃、俺が出会い、そして失った‥‥‥一人の魔法使いが、俺を変えたのだろう。
馬鹿なまでに誠実で、生真面目で、正義感の高い少女。
そして、俺よりもずっと死に怯え、必死に抗い続けていた。
俺は、彼女を守れなかった。
失うことを経験した俺は、彼女と同じように苦しむ人も、魔法使いも、救ってあげたい‥‥‥守ってあげたいと思った。
例え、精霊であったとしても、それは変わらない。
守れなかった人の分まで、守ってみせると誓った。
だから俺は戦ってきた。
そんな中でも、特に守りたい人がいた。
誰よりも孤高で、それ故に孤独でいる少女‥‥‥ルチア=ダルク。
彼女を一目見て、俺は綺麗だなと思った。
孤高であるが故に持つ美しさ、気高しさ、勇猛さ。
彼女の全てに惹かれて、今も変わらない。
俺は、そんな彼女を知りたかった。
彼女の全てを知りたいと思った。
それからの俺は、彼女と共に魔法使いとして戦ってきたんだ。
‥‥‥だから、ルチアが冷羅魏の味方をした時‥‥‥俺ではなく、冷羅魏を選んだ時は、絶望した。
胸が締め付けられて、呼吸ができなくなりそう
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