第五章 友と明日のソラ編
第三話 光と闇の交錯 後編
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いになって、魔法を使えれば、みんなを守れると思っていた。
魔法は、どんなファンタジーの物語でも、誰かを幸せにしてくれた。
俺は、そんな魔法使いになりたかった。
皆は俺の魔法を、特別なものだと言ってくれた。
普通とは違う、特殊なものなのだと言ってくれた。
だから俺は、その特殊な力で、俺だけにしかできないことをしたかった。
――――――だけど、俺には何もできなかった。
失ってばかりの道だった。
今、ここで無力に、そして無様に殺されず、ただ凍結させられているのは‥‥‥当然の報いなのだろう。
だけど‥‥‥それでも‥‥‥俺の報いに、ルチアを巻き込みたくなかったな‥‥‥。
――――――『どうしてこんな時に、私のことを考えるのよ?』
不意に聞こえたその声に、俺は冷静に答えていった。
「そりゃそうだろ? だって俺は、お前を助けるためにここに来たんだから。 それなのに、守れず、助けられず、結局は負けた。 俺、駄目な奴過ぎるだろ?」
――――――『ええ。 ほんとに駄目な人ね。 |人じゃない存在(わたし)なんかを守るなんて‥‥‥お人好しなのか、又は大馬鹿ね』
「‥‥‥分かってる。 俺は確かに、大馬鹿だよ。 それでも俺は、命を賭けて、お前を守りたかったんだ」
――――――『何もわかってないッ! あなたは、私がどういう存在なのか、全然わかってない!! 私は、皆を騙してきたのよ!? 精霊って事実を隠して、あなた達を騙してきたのよ!? それに、私はあなたを裏切った! あなたが私を助けてくれた時、私は冷羅魏の味方をして、あなたを傷つけた!! それなのに‥‥‥どうして‥‥‥!?』
「分かってるよ。 ずっと前から‥‥‥分かってたよ」
――――――『え‥‥‥?』
「この灯火町に来て、最初の頃‥‥‥一週間もしない頃、瞳さんから、ルチアが人じゃなくて精霊であることを聞いてた。」
――――――『嘘‥‥‥それじゃ、どうして私なんかの傍に‥‥‥?』
「‥‥‥そんなこと、決まってる。 俺はその答えを、瞳さんにも言った」
あの時、斑鳩瞳さんは俺を信じていたから、ルチアの真実を伝えたんだ。
だから俺は、俺の思うことを言った。
例え精霊であっても、ルチアがルチアであることは変わらないから。
俺は‥‥‥精霊であることなんて、どうでも良かったんだ。
「ルチア。 俺は、ルチアのことが‥‥‥ルチア=ダルクのことが――――――好きなんだ」
――――――『しょ、翔‥‥‥』
「精霊でも、人でも、どっちでもいい。 俺はただ、ルチアのことが好きで、大切な人で、この町で出会った守りたい存在なんだ」
―――
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