第五章 友と明日のソラ編
第三話 光と闇の交錯 後編
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つかないものとなる。
「我裁きしは裏切りの罪。 氷と闇、今交わりし時、嘆きの川より永久の地獄、与えられん!」
冷羅魏の持つ氷の性質を持つ魔力と、ルチアの持つ闇の性質の魔力が二重螺旋となって、漆黒の鎌を包み込む。
禍々しいオーラと、吐息が凍る程の冷気を放つ。
詠唱が終わり、あいつは俺を狙って奥の手である最後の一手を放つ‥‥‥。
だけど、俺は違和感を覚えていた。
ルチアや静香から教わったことだが、魔法使いは戦いの中で、相手の『気配』と言うものには極めて敏感になるらしい。
気配のみならず、五感全てが敏感になり、所謂『超感覚』を身につける。
俺も戦いの中で、超感覚と言うのがどういうものかを理解した。
これを駆使することで、敵がどこに隠れていても、五感全てが探り当てることができる。
だが、気配だけでは気づけないことがある。
いくら気配が読めても、敵が誰を攻撃するか、どんな攻撃をしてくるかまでは予測できないらしい。
‥‥‥だが、俺は特殊だそうだ。
俺は気配だけでなく、『殺気・思考』を予測することができる。
これにより、敵が誰を狙い、誰をどう攻撃するかを予測できる。
ただし、それはあくまで予測に過ぎないため、多様はできないし、信頼しきれない。
それでも、今この状況でこの予測は、信用するに足るものだと俺は思った。
だから俺はこの予測を信じ、そして行動する。
「雷より求めよ、神速の光ッ!!」
俺は脳内に駆け巡る膨大な魔法文字を複雑に組み合わせ、魔法を発現させる。
発現させたのは、金星の加護を受けた『雷』の魔法。
初めて魔法使いになった時から使っている、雷の如く大地を駆ける光速移動魔法。
――――――『|金星駆ける閃光の軌跡(ブリッツ・ムーブ)』。
俺は光速で駆け出し、――――――ルチアのもとへ向かった。
冷羅魏の殺気は、俺に向いていなかった。
先程まで、ずっと俺に向いていた殺気が違う方向に向いていた‥‥‥それが、俺の感じた違和感の正体。
恐らく、ルチアを狙えば俺が必ず守るために走り、庇うのを分かっていたのだろう。
そしてそこは、俺にとっての隙となり、ルチアと俺‥‥‥一度に二人を殲滅できる。
それが、冷羅魏氷華の狙いだろう。
‥‥‥悔しいけど、俺にはルチアを庇うことしかできない。
冷羅魏の企み通り、俺はルチアを庇ってこの命を失うだろう。
‥‥‥まぁ、それでも構わないか。
冷羅魏はこの一撃で、恐らく魔力の大半を失うだろう。
あとは、他の仲間に任せればいい。
俺はただ、守りたい人を守れれば‥‥‥それで、――――――それで十分だ。
「ルチアッ!!」
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