第五章 友と明日のソラ編
第一話 築き上げたもの
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渡らせると、魔法円が光りだす。
ルチアの魔力色と同じ、黒い光を発したのだ。
冷羅魏は不気味な笑を零しながら、その光景を見つめていた。
黒き光はその輝きを増していき、そしてルチアの全身を激痛が襲い来る。
「うっ‥‥‥あっ‥‥‥あああッ!!」
全身を鋼で叩かれたような激痛が支配する。
ルチアは悶え苦しみながら、魔法円の光に包まれていく。
激痛のあまり、意識が飛んでしまいそうだった。
「くっ‥‥‥あっ!」
遂に全身が激痛に負け、意識が途切れた。
全身から力が抜け、そのまま体は前に倒れていく。
(しょ‥‥‥う、‥‥‥翔‥‥‥っ)
倒れる間際、ルチアの心の中に現れたのは、白銀の光を身に纏い、笑顔でこちらに手を伸ばす、相良翔だった。
いつも彼は、自分が辛いときに助けに来てくれた。
だからきっと、その光景が再び過ぎったのだろう。
けれど、もう彼はここには来ないだろう。
なぜなら、ルチアは彼を‥‥‥裏切ったからだ。
例え会えたとしても、彼は二度と笑顔で自分を見てはくれないだろう。
憎しみの、怒りの、殺意の眼差しで自分を見るのだろう。
‥‥‥それは、とても嫌だった。
(ああ、そういう、こと‥‥‥ね)
そしてその時、ルチアは気づいた。
自分の、本当の想いと、自分が求めていることを。
(私‥‥‥翔のことが、――――――好きなんだ)
二度と伝えられない想いを胸に、ルチアは意識を失い、暗闇の世界に落ちていった。
そして、ルチアの倒れる光景をただ見つめていた冷羅魏は、儀式によってルチアの体内から出てきた、ルチアの武器――――――鎌を手に持った。
「どうやら成功したようだ!」
その鎌は冷羅魏の手に収まると、ルチアの持つ魔力色『黒』と冷羅魏の持つ魔力色『水色』と混ざり合う。
この儀式は、精霊の力を魔法使いに移し替える儀式である。
精霊は魔法の根源を生み出し、魔法使いを上回る力を持っている。
それは、儀式によって魔法使いに移すことができる。
冷羅魏の目的は、ルチアではなく、ルチアの持つその圧倒的な力だったのだ。
「さぁ、始めようか!」
冷羅魏は高らかに言った。
先ほどの儀式の光で、こちらには多くの魔法使いが来るだろう。
その者に対して宣言する。
「この町にいる魔法使い、全員を根絶やしにする!」
冷羅魏の言葉に賛同するのは、澄野クロエ、不知火都姫だった。
二人は頷くと、二手に分かれて迫る魔法使いを迎え撃ちに行った。
残った冷羅魏はその場から動かず、魔法使いを待ち構えていた。
「さぁ来い‥‥‥
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