第四章 雨の想い編
第五話 涙のソラ
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ショコラが喋れる理由は、ミウが魔法使いだからである。
この二人、知らぬうちに魔法使いとしての契約をしており、その効果としてショコラが人間の言葉を話せるようになった。
「お医者さんから聞いたんだよ? お兄ちゃん、意識不明だったって」
「そうなのか?」
《気づかないのは当然だけど、ま〜た随分無茶したね〜》
翔も驚いた。
まさか、意識不明にまで陥っていたとは思わなかった。
二日もかからずに目覚めたのは、やはり奇跡としか言い様がなかった。
「‥‥‥ねぇ、お兄ちゃん。 聞いてもいい?」
ミウの蒼い瞳が、真っ直ぐに翔を見つめる。
「お兄ちゃんは、何のために戦ってるの? どうしたら、そんなに無茶ができるの? お兄ちゃんが優しいのは、みんな知ってるけど、ちょっと度を超えてると思うんだ。 お兄ちゃんに、何があったの?」
「‥‥‥」
翔は窓の外、曇ソラを眺めながら、記憶の彼方を探るように語りだした。
「‥‥‥今から二ヶ月くらい前かな‥‥‥。 この町に来て、俺はすぐに魔法使いになったけど、その頃は魔法使いとして身を置くことを嫌がっていたんだ。 それは、義妹の奈々との関係をやり直すためにここにきて、それ以外の目的で何かをするつもりはなかったからだ」
何の迷いもなく、翔は口を滑るように話しをしていた。
未だ、誰にも話していない過去、彼が誰かを守ることに必死になる理由。
ミウなら、話しても同情も否定もしないと思ったからだろうか。
「そんなある日、俺は、犯罪を犯す魔法使いと戦う、魔法使いの女を助けたんだ。 彼女は俺と同じように、魔法使いになりたてで、正義感がとても強い女性だった。 その上、かなりのお節介で、助けたお礼がしたいからって、俺を家に招待したり、料理を振舞ったりしてくれた」
ミウから見た、その時の翔の表情は、とても嬉しそうで、幸せそうだった。
その表情を見ると、どこか嫉妬してしまいながらも、ミウは話しを聞いた。
「彼女は魔法使いとして覚醒したとき、すぐにこの力が、みんなを守れるものだ思ったんだ。 だからその力で、この町のみんなを守りたいって‥‥‥ほんとに正義感が強かった。 俺はそんな彼女に、憧れみたいなのがあったんだ。 誰かの為に必死に立ち向かう、それは簡単にできることなんかじゃなくて、自分自身の色んなものを犠牲にして成り立つものだから。 そんな彼女の力になりたいって、俺は彼女のパートナーになった」
その少女の力は、決して強いものではなかった。
相良翔に比べてば、足元にも及ばないような、その程度の力だった。
トンファー使いで、魔力は両腕・両足に込めることで光速移動、光速連撃ができるという
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