第四章 雨の想い編
第四話 恐怖と決意
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彼女は単独での行動が多かった。
その時は純系魔法使いで、能力名『孤高なる魔女の魔眼《フェアデルベン・バニッシュ》』と言う魔法を使って戦っていた(能力解説は省く)。
冷羅魏と出会ったのは、彼が起こしたある事件が原因だった。
彼は一週間で数十人の二十〜四十代の男女を殺害していた。
もちろん、指名手配犯となっている。
魔法使いが相手ということで、当然、斑鳩も介入することとなった。
斑鳩は彼の住所などの情報や、彼の殺害した人のパターンを調べた。
その中で判明したのが、彼に殺害された人は皆、『育児放棄』又は『虐待』をした夫婦だった。
そして彼の出身はとある孤児院だった。
彼もまた、育児放棄で孤児院に暮らしていた人だったのだ。
つまり彼は、両親と言う存在に対して恨みがあったのだ。
彼がなぜ夫婦を殺害するのか、それで納得がいった。
だが、例えどんな理由があろうと、殺人は殺人だった。
斑鳩は一人、冷羅魏と対戦することとなった。
「瞳さんは、勝ったんですか?」
「いいえ‥‥‥引き分けだった」
静香の質問に、斑鳩はそう答えると自嘲気味な笑を見せながら言った。
「冷羅魏君の能力を抑制することはできた。 だけどその代償に、私は魔法を失った」
話しを続けると、斑鳩の力を持って冷羅魏は力を失った。
だが、斑鳩もまた、その激しい死闘の末に魔法を失った。
そして冷羅魏には逃げられ、斑鳩は前線を離れることになり、現在に至る。
「あれから私は、私のような人を出さないために、皆に教えられることを教え、助けるときは助けられるためにこの職を選んだの」
「‥‥‥」
なぜ、相良翔が斑鳩に、このことを黙るように言ったのか、今ならはっきりと分かる。
それは、斑鳩瞳の過去の後悔を晴らすためだ。
そして、冷羅魏氷華と相良翔は、よく似ているからだ。
もし翔が道を踏み間違えれば、冷羅魏のようになっていただろう。
恐らく翔は、それを察したのだろう。
斑鳩の過去の後悔であり、自分の鏡のような存在。
そして、ルチア=ダルクを奪った存在。
相良翔が一人で戦う理由としては、誰もが納得がいった。
「結局、お兄ちゃんはそう言う人なんだね」
義妹はそう言うと、コップに入った紅茶を一気飲みほし、席を立つ。
その表情は、心なしか清々しそうに見えた。
「私、先にお兄ちゃんのところに戻ります」
そう言うと奈々は食堂を走って出ると、そのまま翔のいる病室へ向かった。
残った斑鳩と静香は、奈々の後ろ姿を見ながら、彼女が義兄を救ってくれることを祈るのだった。
「それじゃ、静香にはルチア
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