第四章 雨の想い編
第三話 無情の真実・無情の別れ
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だ」
「くっ――――――」
そして拳は真っ直ぐ、翔の腹部を直撃し、激しい爆発音が空間を支配する。
言葉にできない激痛が翔を襲い、そして屋上から学園の校庭にまで隕石のように落下し、仰向けのまま叩きつけられる。
声にならない叫びと、地面を砕く音。
全身は地面にめり込み、身動き一つ取れなくなる。
あらゆる場所から血が流れ出し、呼吸もままならない。
意識も徐々に薄れていた。
「ちっ‥‥‥まだ死なないか。 随分と頑丈な身体してるじゃないか」
舌打ちをしながら冷羅魏がルチアを連れて校庭に飛び降りて着地した。
そして翔のところへトドメを刺すために歩み寄る。
冷羅魏の右手は氷の刃が生まれており、恐らく刺して終わりだろう。
「今度こそ終わりだ」
「‥‥‥」
声が出ない。
だが、その代わりに涙が溢れた。
死ぬのが怖いんじゃない。
ただ‥‥‥大切な人を、大好きな人を救えなかったことが悔しかったのだ。
敵の手に取られ、それでも何もできなかった自分。
救いたかった、守りたかった。
それなのに、何もできなかった。
全身の痛みよりも、心のほうが‥‥‥もっと痛かった。
迫る氷の刃に、翔は何もできなかった。
――――――『その辺にしなさい。 冷羅魏君!』
「ッ!?」
その時、氷の刃が一瞬で消滅した。
誰もが突然の事に、何が起こったのかを理解できなかった。
冷羅魏も最初は驚いたが、すぐにその正体を理解した。
そして現れる、一人の女性。
相良翔を守るように前に立ち、冷羅魏を睨みつける。
淡く金髪の入った首まで伸びた髪。
黒いボーダーワンピース。
そして全てを見透かしているかのようなエメラルド色の瞳。
今まで、外で戦う姿を見たことがない女性。
「翔。 遅れてごめんなさい。 もう大丈夫だから」
その声を始めとして、こちらに数名の魔法使いが接近している。
翔の仲間が‥‥‥こちらに来ている。
「冷羅魏君。 ここからは私達が相手をするけど、どうする?」
「‥‥‥はぁ」
女性の覇気のある声に気圧されることなく、彼は諦めたようにため息をつく。
そして両手をあげ、降参と言った。
「今日はこの辺にしておく。 次は殺す。 そんじゃな」
そう言うと冷羅魏は全身から真っ白な冷気を噴出して世界を冷気に染める。
そして冷気が風によって消え去ったとき、冷羅魏は姿を消していた。
もちろん‥‥‥ルチアも。
「‥‥‥翔。 もう大丈夫。 ゆっくり休んで」
「ぁ‥‥‥瞳‥‥‥さん――――――」
そこ
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