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魔法使いの知らないソラ
第四章 雨の想い編
第三話 無情の真実・無情の別れ
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小さな波に飲まれて崩れ去っていくように、今までの思い出もまた一つの真実によって崩れ去っていく。

そして信じがたいことに、目の前にいる冷羅魏氷華という存在が、自分にとって味方に見えた。

なぜなら彼は『こちら側の化物』と言ったからだ。

では彼もまた、ルチアと近しい化物であるのだろう。

つまり彼はこの世界で唯一、ルチアの味方でいてくれる存在。

絶望に染まったルチアは、そう解釈してしまった。


「俺たちと共に来ないか? ルチア=ダルク」

「‥‥‥」


ルチアはコクりと、首を縦に振った。

考えて出した結論であるわけがなかった。

これは間違いなく誘導されたものだ。

だが、真実によって絶望した彼女には何が嘘で何が真実なのか、それを見切ることはできなかった。

そしてどこまでも計算通りだった冷羅魏氷華は不敵に笑うと、その場を去ろうと立ち上がる。


――――――「やめろッ!!!」


刹那、冷羅魏とルチアの間に白銀の光が横切った。

そして次の瞬間、激しい火花を散らして地面が真っ二つに切り裂かれる。

即座に冷羅魏は後ろに飛んで回避し、その時にルチアを抱き寄せて飛んだ。

着地と同時に今の白銀の光を起こした人物も彼らの前に現れる。


「やっぱり君が最初にここに来たか‥‥‥待ってたよ」


冷羅魏は笑いを崩さず、その人物を見つめる。

白銀のコートを身に纏い、右手に持たれる白銀の刀。

鋭い眼光は冷羅魏を睨みつけ、今にも殺してしまいそうな殺気を感じさせる。

その正体は、ルチアの初恋にして、冷羅魏が最後に用意したキーマン――――――相良翔。


「冷羅魏ッ! ルチアを返せ!」

「そりゃ無理な相談だな。 ルチアは今から俺たちの味方だ。 今後はお前たちの敵なんだよ」

「ふざけるな!!」


翔は左足を強く踏みしめ、地面をえぐるほどの脚力で駆け出した。

魔力で強化された脚力により、その速度は弾丸にも匹敵するものとなる。

そして1秒もかからないうちに冷羅魏の懐に飛び込むと、刀を横薙に振るう。


「ふざけてなんていないさ!」

「ッ!?」


だが、翔の一撃は突如現れた氷の盾によって阻まれる。

それでも翔は諦めず、魔法の性質を炎に変換させた。

魔力は刀身で炎へと変化し、氷の盾を溶かしていく。

高い温度差のため、激しい音を立てながら蒸発していく氷。

そしてすぐに氷の盾は溶けて消えた。


「せいッ!!」


気合一閃、刀身に纏われた炎となった魔力は敵を焼き切らんとばかりに迫る。

この一撃は全力で放つ一撃、直撃すれば間違いなく命を落とす。

それだけのものを放っているに
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