第四章 雨の想い編
第三話 無情の真実・無情の別れ
[5/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
小さな波に飲まれて崩れ去っていくように、今までの思い出もまた一つの真実によって崩れ去っていく。
そして信じがたいことに、目の前にいる冷羅魏氷華という存在が、自分にとって味方に見えた。
なぜなら彼は『こちら側の化物』と言ったからだ。
では彼もまた、ルチアと近しい化物であるのだろう。
つまり彼はこの世界で唯一、ルチアの味方でいてくれる存在。
絶望に染まったルチアは、そう解釈してしまった。
「俺たちと共に来ないか? ルチア=ダルク」
「‥‥‥」
ルチアはコクりと、首を縦に振った。
考えて出した結論であるわけがなかった。
これは間違いなく誘導されたものだ。
だが、真実によって絶望した彼女には何が嘘で何が真実なのか、それを見切ることはできなかった。
そしてどこまでも計算通りだった冷羅魏氷華は不敵に笑うと、その場を去ろうと立ち上がる。
――――――「やめろッ!!!」
刹那、冷羅魏とルチアの間に白銀の光が横切った。
そして次の瞬間、激しい火花を散らして地面が真っ二つに切り裂かれる。
即座に冷羅魏は後ろに飛んで回避し、その時にルチアを抱き寄せて飛んだ。
着地と同時に今の白銀の光を起こした人物も彼らの前に現れる。
「やっぱり君が最初にここに来たか‥‥‥待ってたよ」
冷羅魏は笑いを崩さず、その人物を見つめる。
白銀のコートを身に纏い、右手に持たれる白銀の刀。
鋭い眼光は冷羅魏を睨みつけ、今にも殺してしまいそうな殺気を感じさせる。
その正体は、ルチアの初恋にして、冷羅魏が最後に用意したキーマン――――――相良翔。
「冷羅魏ッ! ルチアを返せ!」
「そりゃ無理な相談だな。 ルチアは今から俺たちの味方だ。 今後はお前たちの敵なんだよ」
「ふざけるな!!」
翔は左足を強く踏みしめ、地面をえぐるほどの脚力で駆け出した。
魔力で強化された脚力により、その速度は弾丸にも匹敵するものとなる。
そして1秒もかからないうちに冷羅魏の懐に飛び込むと、刀を横薙に振るう。
「ふざけてなんていないさ!」
「ッ!?」
だが、翔の一撃は突如現れた氷の盾によって阻まれる。
それでも翔は諦めず、魔法の性質を炎に変換させた。
魔力は刀身で炎へと変化し、氷の盾を溶かしていく。
高い温度差のため、激しい音を立てながら蒸発していく氷。
そしてすぐに氷の盾は溶けて消えた。
「せいッ!!」
気合一閃、刀身に纏われた炎となった魔力は敵を焼き切らんとばかりに迫る。
この一撃は全力で放つ一撃、直撃すれば間違いなく命を落とす。
それだけのものを放っているに
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ