第四章 雨の想い編
第三話 無情の真実・無情の別れ
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う存在すらも伝説とされており、書物などでしかその存在を見ることはできないとされている。
ルチアの力は、その強大な力を持つ精霊並と言われたのだ。
「そしてお前は間違いなく、人間じゃなくて精霊だ」
「え‥‥‥!?」
訳がわからなかった。
自分が精霊? ‥‥‥そんなはずはない。
人として生まれ育ってきた、フランス出身だと言うのも知っている。
「嘘よ。 私は人として生まれて、父と母に育ててもらった」
「それを誰から聞いた?」
「当然、親に‥‥‥っ」
その時、ルチアはハッ!とした様子であることに気づいた。
そしてその場で俯き、驚きのあまり目を見開いてしまう。
「そんな‥‥‥うそ‥‥‥うそよ‥‥‥こんなの」
ルチアのリアクションは、氷華にとっては予想通りのものらしく、彼は笑いながらルチアを見つめた。
ルチアが驚いたのは一つ、覚えていないことだった。
親に育ててもらった記憶、生まれた場所の景色、親の顔も‥‥‥いや、そもそも彼女にはある時からの記憶が全てないのだ。
それは、赤ん坊の時から、小学生に入るまでの記憶がないのだ。
自分でもどうして今までそのことに気づかなかったのか、驚き過ぎて頭が混乱していた。
これは常識と言う錯覚に囚われたからだ。
赤ん坊の頃の記憶がないのは当然、両親が生んで育ててくれた‥‥‥それらが全て常識として捉えていたからこそ、それが嘘であると言う錯覚に囚われたのだ。
では‥‥‥本当に自分は精霊なのだろうか?
そこだけは決定的な証拠がなかった。
「君、精霊がなぜこの世で姿を現さなくなったのか知ってるかい?」
「え?」
混乱する思考の中、彼は精霊のことについて話す。
それは恐らく、ルチアの疑問を解消させるためだろう。
「精霊は人間とかつては契約し、魔法使いを支えていた。 だがあるときから人は欲に染まり、精霊を利用して文明に大きな影響を及ぼした。 それを二度と起こさないために、精霊は人の前に現れなくなった。 では現在、精霊はどう生きているのだろうか?」
それは疑問だった。
森林伐採などがあり、この世界は自然と言うものがなくなっている。
人間以外の自然生物が生きるには生きづらい世界になっているのだ。
それはもちろん、精霊も同じだ。
精霊もまた、人から身を潜めている種であるということは、どこかに隠れて生息しなければならない。
それはどこか‥‥‥それを、冷羅魏氷華は知っている。
「それは驚くことに、――――――人間に紛れて生きているんだよ」
「人間に‥‥‥それじゃ、私は‥‥‥!?」
彼の言葉で、全ての辻褄が合った
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