第四章 雨の想い編
第三話 無情の真実・無情の別れ
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だが実体を持つ彼は間違いなく、ルチアの知る人物だった。
「冷羅魏‥‥‥氷華」
氷の魔法使い、冷羅魏氷華だった。
彼は今に至るまで、何もしてこなかったがようやく姿を現した。
つまり今が、彼を倒す数少ない機会。
そう考えた瞬間、ルチアは一瞬にして全身を魔法使いとしての姿にし、左手に巨大な鎌をもって構えた。
すると氷華は微笑混じりに両手を軽く上げて言った。
「待った待った! 今日は戦うために来たんじゃない」
「あなたとは戦う以外にすることはないわ。 それとも、おとなしく捕まる気にでもなったかしら?」
「いいや、そのつもりもない。 今日はお前に大切な話しがあってここに来たんだ」
「‥‥‥」
彼は魔力を一切出していない、武器らしいものもない。
翔からの情報であったように、湿り気や水らしいものも見当たらない。
恐らく彼の言っていることは本当だろう。
彼は戦う以外の目的でルチアの前に現れたのだ。
だが、何をしてくるか分からないため、ルチアは武器を構えたまま彼の話しを聞くことにした。
「分かったわ。 話して」
「武器を構えたままっていうのも変な気がするんだけどな‥‥‥まぁいいや。 それじゃ話すとしようか。 君の真実を」
「‥‥‥私の、真実?」
彼は間違いなく、ルチアのことを言った。
ルチアの真実‥‥‥ルチア自身が知らない真実だ。
彼は何を知っているのか、その言葉だけで十分に興味をそそるものがあった。
どうでもよければ、その場で彼を切り捨てると決意したルチアは彼の話しを聞き始めた。
「クロエから聞いたよ。 君は闇の魔法を使うんだってね。 それ自体は決して珍しくない。 けれど君と戦ったクロエは言ったよ。 君は普通では考えられない程の魔力量と力を秘めているって」
「それがなんだって言うの?」
ルチアにとってそれはどうでもよかった。
なぜなら魔法使いの力とは、そのものの意思次第でいくらでも上昇できるからだ。
ルチアだってその想い一つ、決意や覚悟一つでどこまでも力をつけられる。
それを知らない氷華でもないだろうが、なぜそれを言ったのか、本題はそこにあるのだろう。
「普通では考えられない。 それじゃ何で考えるかだ。 君の力は魔法使いよりも上の‥‥‥そう――――――『精霊級』の魔法使いだ」
「精霊‥‥‥」
その単語に、ルチアは衝撃を受けた。
精霊――――――かつてはこの世界に多数存在していたとされる、魔法を生み出した存在。
全ての魔法は精霊によって生み出されたとされており、精霊の持つ魔力は魔法使いの比ではないとされている。
だが現在は精霊とい
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