第四章 雨の想い編
第一話 雨にふられて
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――――――相良翔が灯火町に来て、三ヶ月が経過した。
冬の寒さは徐々に引いていき、コートを着て丁度いいくらいの気温が続いている。
起床するときに襲う睡魔や、毛布の暖かさと言う魔性のアイテムの攻撃は続いているが、何とかして起きることができているような日々が続いていた。
そんな今日この頃、相良翔は義妹の護河奈々との生活を楽しんでいる。
‥‥‥相良翔はこの日、いつものように学園に登校して教室に到着する。
今日は朝から奈々が朝食を作ろうとしていたので、それを全力で止めていたら時間がかかってしまったため、友人である三賀苗 武や桜乃 春人、七瀬 紗智と共に学校に行けなかったのだ。
遅刻ギリギリに教室に辿りついた翔はクラスメイトに挨拶をし、武達3人の所へ向かう。
「おはよう。 遅くなって悪かったな」
翔は反省を込めて頭を下げながらそう言うと、みんなは笑顔でおはようと返して言った。
「気にすんな。 どうせ妹のことで色々あったんだろ?」
「え‥‥‥あ、ああ。 そうだけど」
よく分かったな‥‥‥と、翔は内心で驚いた。
彼らはたった三ヶ月と言う間で、相良翔と言う存在のことを多く知り、彼の事情を察する能力が高くなっていた。
その理由は、この三ヶ月に色んな事が立て続けに起こったからだろう。
だがそれは全て、無駄なことではなく、相良翔にとって大きな価値があることだった。
「それよりも翔。 お前最近、ルチアと喧嘩でもしたか?」
「え?」
話題は変わり、相良翔の戦友にして友人兼クラスメイト(隣の席)のルチア=ダルクのことになった。
『喧嘩』と言う単語を、ルチア=ダルクに対して使うのは一体何度目なのだろうとこの四人は考えてしまうほど、相良翔とルチア=ダルクは喧嘩をする。
‥‥‥とはいえ、翔自身はいつの間にかルチアが怒っていたとしか言えないほどに、急に喧嘩になっている。
この三ヶ月で、武が翔にいつ喧嘩をしたんだ? と言う質問をした回数はかなり多い。
そして翔はその質問に対して、もう何度目になるだろうかと思うくらいの同じ答えを返す。
「わからない。 何故か最近、またルチアが俺と距離を置くようになってさ」
「「「はぁ‥‥‥」」」
翔の返答に3人はまるで練習でもしたかのように、同時にため息をする。
この一連の流れが気づけば恒例なものになっていた。
「まぁお前とルチアの喧嘩は毎度のことだから気にしないってことにしたいんだけどさ」
「‥‥‥?」
春人が苦虫を噛み潰したような顔をしながら頭を抱える。
何か困っているようにも見えるその口調に、何も理解できない翔は頭にはてなを浮かべることしかでき
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