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魔法使いの知らないソラ
第四章 雨の想い編
第一話 雨にふられて
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「紗智‥‥‥」

「私と翔は‥‥‥全然違う世界にいて、私は全然届かなくて‥‥‥だから、ダメなの」


紗智の身体が、小刻みに震える。

紗智の顔がついた胸のあたりは、彼女の涙で熱かった。

それだけ、彼女は辛かったのだ。

諦めざるを得なかった程の高い壁と、計り知れない距離。

そう。 相良翔と言う存在とは釣り合わないと理解し、納得してしまったのだ。


「私‥‥‥悔しいよ。 でも、私じゃ翔を幸せにできない‥‥‥だから‥‥‥だから‥‥‥私‥‥‥私ぃ――――――ッ!?」

「もういい。 もう、十分だ」


武はゆっくり、そしてしっかりと、紗智を抱きしめ返した。

互いの肌が密着し合い、熱を帯びる。

互いの想いが伝わり合う感覚、そして‥‥‥切ないと思ってしまう心。


「お前はもう、十分頑張った。 お疲れ様、―――紗智」

「う‥‥‥あああ‥‥‥あああああッ!!」

「‥‥‥」


そして紗智はずっと泣き叫び続け、武はそれを受け止め続けた。

いつまでも‥‥‥いつまでも‥‥‥降り続く雨の中、いつまでも‥‥‥いつまでも――――――。
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