第四章 雨の想い編
第一話 雨にふられて
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、ソラを眺めていた。
授業をサボりたいわけではないが、今は授業を受ける気分ではない。
その理由は当然、隣の席でこちらをチラチラと見てくる彼、相良翔がいるからだ。
何を考えているのか不明だが、なぜかこちらをチラ見してきて不愉快だった。
そしてそれが気になって授業に集中できないため、気を紛らわすためにソラを眺めていた。
「(全く‥‥‥何を考えてるのか、ほんとに分からないわ)」
彼が何を考え、何を思ってこちらを見るのか‥‥‥それが好意であるのなら、少なくとも幸福に思うべきだろう。
だが、ルチアの知る限り、彼はそう言う意味で人と接することはないだろう。
つまり、儚き期待なのだ。
「(私も、何を考えてるのかしら)」
期待なんて意味がないのは分かってるにもかかわらず、期待をしてしまう自分がいて、またそれを否定する自分がいた。
そんな不毛なことをするなんて、自分らしくない。
いつからそんなふうになってしまったのだろうか‥‥‥いや、原因はわかっている。
それもこれも、全てが全て、相良翔のせいなのだ。
「‥‥‥何よ?」
「っ!?」
我慢の限界を感じたルチアは覚悟を決め、小さな声で翔の方を向いてそう聞くと、翔はビクッ! と驚きながらルチアから目を逸らした。
そしてそのままずっと、彼は何も答えずに時間だけが過ぎていった。
「(‥‥‥ほんと、なんだって言うのよ)」
結局ルチアは、彼が気になって仕方なかったのだった――――――。
***
「た、確かにそれは‥‥‥気になるかも」
「でしょ?」
お昼休み、ルチアは購買で購入できるサンドイッチを口に運び、牛乳で流し飲みながら同級生で唯一の女子友達である七瀬 紗智に先ほどのことを相談していた。
紗智もサンドイッチを食べながら、苦笑いしていた。
やはり相良翔の行動は異常だった。
彼がなぜそんなことをするのか、分からなかったルチアは紗智に相談をしたのだ。
すると紗智は軽くため息をつくと、心に思っていたことをポロっとはき出す。
「はぁ‥‥‥不器用なんだから」
「え?」
その言葉は一体、誰に向けたものなのだろうか‥‥‥それは恐らく、相良翔へだ。
つまり紗智は、事情を知っている。
「紗智さん、教えて。 翔がなぜあんなことをするのか」
「‥‥‥それは」
紗智は真剣な表情でルチアを見つめると、はっきりとした声で言った。
「それは、私が答えていいことじゃないの。 間違いなくそれは、――――――二人の問題だから」
「紗智‥‥‥さん?」
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