第四章 雨の想い編
第一話 雨にふられて
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――――――一方、ルチア=ダルクは複雑な感情を抱く日々が続いていた。
相良翔がこの灯火町に来て、ルチアと出会って早三ヶ月‥‥‥この三ヶ月で二人の関係は劇的に変わった気がする。
最初はただの同級生であり、それ以上でもそれ以下でもない関係になるだろうと思っていた。
だが、魔法使いとして彼と戦うことになり、様々な事件で彼と戦っていったことでそれ以上の関係となってしまった。
更に不思議なことに、彼と出会ってからルチアは退屈な時間というものを感じることが少なくなっていた。
クラスで友人を作り、魔法使いとしての戦いも戦友ができた。
その全てが相良翔と言うたった一人の存在によるものだった。
誰よりも強く、誰よりも優しく、そして‥‥‥誰よりも辛い過去を持ち、それを背負って生きていると言う、そんな現代には珍しい少年の存在が、ルチア=ダルクの日常を変えたのだ。
だが、更に不思議なことがある。
彼はいつも誰かのために必死で、自分のことは気にしない。
誰かを守れれば良い‥‥‥そんな生き方をしている。
それは、戦いにも現れている。
この前の冷羅魏達の一件でルチアは二対一と言う不利な状況に追い込まれた時、翔は自らの全魔力を使ってそれを阻止した。
魔力が無くなるなれば、自分の身だってただでは済まないことを承知の上で、そんな無謀なことをしたのだ。
別に自分が死んでもいいなんて考えてはいないだろうが、少なくとも彼は自分の事よりも仲間を優先していた。
そんな彼に、最近はイライラする。
それは当然、彼が自分を大切にできていないからだ。
無茶して、下手をすれば死んでしまうようなことを、彼はいつもしてしまう。
過去に一度、かなりの無茶をして倒れかけたことがあるというのに、彼は未だにそれをやめようとはしないのだ。
ルチアは、彼に生きて欲しいと強く思っている。
もっと自分を大切にして欲しいと思っている。
なぜならそれは――――――!?
「な、何考えてるのかしら‥‥‥私は」
今、自分はなんて恥ずかしいことを思ったのだろうかと羞恥で顔を真っ赤にさせてしまう。
全身からぶあっと熱と汗が溢れ出てくる。
こんな気持ちにさせられては、どうすればいいのか全く分からない。
それもこれも全て、彼‥‥‥相良翔のせいなのだ。
「全く‥‥‥」
ボソッと、誰にも聞こえないくらいの声で呟いた。
今は四時間目の授業、国語の授業だ。
国語の教師が詩を読んで、生徒たちはそれを聴いている‥‥‥一部生徒からすれば睡魔がどっと襲い来る時間である。
ルチアはその間、肘を机につけて手のひらで顔を支えながら窓の外
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