第三章 兄弟の真実編
第五話 兄妹・真実のソラ
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きっと、それだけの決断を出すのに凄く迷ってきただろう。
この場所に来るまで、果てしない苦しみを味わってきただろう。
死に近いものを何度も体験して、それを何度も乗り越えてきた。
それは全て、義兄である相良翔のためだった。
全てを知った相良翔は、言葉にできない感情が溢れてきた。
そしてその想いを彼は、行動で表した。
「バカ‥‥‥バカだよ、お前は!」
「お兄ちゃん‥‥‥!?」
翔は奈々のそばに駆け寄ると、両腕いっぱいに彼女を抱きしめた。
そして右手で奈々の頭を撫でて、左手を背中に回して密着させる。
締め付けているかのように力強く抱きしめられた奈々は、困惑して硬直してしまう。
そんな彼女に、翔は言った。
「俺を守ってくれて、ありがとう。 お前は俺の、――――――自慢の妹だ」
「ぅ‥‥‥っく‥‥‥」
不意に、そんな声が、喉の奥から出てきた。
義兄が、初めて自分を義妹ではなく、妹として認めてくれた言葉。
あまりにも強烈な衝撃が心を襲い、翔の服を握り締めて、力強く抱きしめ返した。
ずっと聞きたかった言葉、ずっと感じたかった家族としての幸せ。
そして、ずっと取り戻したかった‥‥‥大切な温もり。
今まで一生懸命に戦ってきた、そのことが全て無駄ではなかったと実感できた。
相良翔が‥‥‥兄が、自分を自慢出来る存在であると言ってくれた。
そのことが何よりも嬉しくて、嬉しすぎて‥‥‥涙が止まらなかった。
せっかく褒めてもらえた、認めてもらえたのに、また不甲斐ない姿を見せてしまう。
「ありがとう‥‥‥ありがとう‥‥‥ありがとう‥‥‥」
そんな声が聞こえると、翔はより一層強く抱きしめてくれた。
更に、頭をずっと撫でてくれた。
何度もありがとうと言って、何度も頭を撫でてくれた。
奈々が泣き止むまでずっと‥‥‥ずっと‥‥‥。
義理の兄妹ではなく、本物の兄妹であるかのように‥‥‥ずっと‥‥‥ずっと――――――。
***
‥‥‥戦いから、一週間が経過した...
冷羅魏氷華達は再び行方不明になったが、彼らが事件を発生させることもなく、ここ一週間は平和そのものだった。
それでも、まだ何かを企んでいるのではないのだろうかと警戒は解かれていない。
そんな中でも彼らは平凡な日常を過ごしていた。
「奈々。 行ってきます」
「うん。 行ってらっしゃい、お兄ちゃん!」
相良翔と護河奈々も、兄妹としての日々を過ごし始めた。
奈々は中学校の卒業式までの間、相良翔の家で過ごすこととなり、翔が学校で
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