第三章 兄弟の真実編
第五話 兄妹・真実のソラ
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いく。
「奈々‥‥‥お前、どうして‥‥‥」
未だ状況を理解していないからか、それとも理解した上で納得していないのか、彼の言葉には震えが混じっていた。
彼をよく知る者として、恐らく後者なのだろうと思った彼女は今まで隠していたことへの罪悪感から声が出なかった。
彼の質問はわかっているのに、それに答えることが怖かったのだ。
それでも、答えなければいけない。
これまで彼を傷つけたことへの償いとして、そして‥‥‥これからそれを背負っていくために、向き合っていかなければいけないことなのだから――――――。
***
相良翔は、目の前にいる彼女のことを誰よりも知っている――――――と思っていた。
中学に上がる頃からずっとそばで甘えていて、翔がいなければ何もできなかったような存在だったのが記憶にいる彼女だった。
でも本当は、色んな人からの期待を背負っていて、それに応えるために必死だった。
それに気づかなかったあの頃は、彼女を苦しめてしまった。
だからこの町にきて、今度は彼女を守れる存在になりたい‥‥‥そう思っていた。
だが、そんな彼女は今――――――命懸けで戦っていた。
少女は一人、どこか怯えた表情で義兄に向かって歩いてきた。
「お兄‥‥‥ちゃん」
「‥‥‥」
怯えているためか、その声は小さく無理に出しているように感じた。
それでも彼女が翔に話そうとしているのは、なぜその力を持っているのかと――――――この灯火町に来た本当の理由なのだ。
恐らく、真実を伝えることで翔が怒るかもしれない、嫌うかもしれない。
そんな不安が彼女を襲っていると言うことは、容易に想像がついた。
「‥‥‥皆、悪い。 俺と奈々の二人だけにしてくれないか?」
翔はそんな奈々を労って、ルチア達を離れた場所に行くようにと伝えた。
ここからは、相良翔と護河奈々と言う、二人の義兄妹の話しだからだ。
そしてそれを悟ったルチアは無言で頷くと、戦い終えた井上静香や朝我零達を連れて離れた場所に移動した。
そんな気遣いをしてくれたルチア達に感謝をしつつ、翔は再び奈々の方を向いて会話を始める。
「‥‥‥奈々。 俺が聞きたいこと‥‥‥分かってるよな?」
「うん‥‥‥分かってる」
できるだけ彼女を怯えさせないように、優しい声で質問していく。
そうでなければ、彼女は我慢していた恐怖を抑えきれなくなるからだ。
先ほどまで、激しくも美しい戦いを見せてくれた彼女だが、精神的な面ではまだ幼く、今のこの状況に耐えるのは難しい。
それを理解している翔は、できるだけ冷静に彼女と話
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