第三章 兄弟の真実編
第五話 兄妹・真実のソラ
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冷羅魏とクロエの目の前で右足を軸に回転して強力な蹴り技を放つ。
闇の破壊を秘めた、漆黒のブーツは魔力によってその形状を『剣』のように変化させる。
真実を纏い、虚空を切り裂く闇の剣――――――『漆黒斬る虚空の絶剣』。
虚空を切り裂きながら漆黒の一撃がまず最初に冷羅魏に迫る。
「やらせない!」
「ッ!?」
だが冷羅魏を庇うように、クロエは影で作り出した鎌を手に持って魔力を纏い、彼女の一撃と真っ向勝負を仕掛けた。
すでに勢いをつけていた一撃は今更止めることもできず、彼女の攻撃はクロエとぶつかり合った。
――――――激しい火花と衝撃波が二人を中心に広がった。
鼓膜が破れんばかりの轟音、地割れが起こり大地が抉れるほどの衝撃、全身が麻痺するかのような振動が広い範囲に広がり、そして――――――
「はッ!!」
「ッ‥‥‥ぁ‥‥‥」
クロエの武器は一瞬にして細かい日々が入り、そのまま砕け散って消える。
そして今だ消えぬ力がそのまま、虚空を切り裂きながらクロエの左肩から右腰にかけて斜めに蹴り降ろされた。
その衝撃でクロエは低空を飛ばされる。
力を失った蹴りはそのまま地面にピタリとついて彼女は直立に姿勢を直し、クロエには目もくれず冷羅魏の方を向く。
「これで残りは冷羅魏だけだよ」
「流石だね。 まさかクロエを一撃で倒すなんて‥‥‥」
未だに余裕の笑を崩さない冷羅魏は何故か不意に、ルチア=ダルクの方をちらりと見た。
そして再びこちらを向くと、全身から白い煙――――――冷気を出して、全身を包みこむ。
「今日のところは退散させてもらう。 “面白いもの”も見れたしね」
「逃がさないッ!」
冷気に包まれる冷羅魏を逃がすまいと彼女は再び弾丸を超える速度で駆け出すと飛び蹴りを勢いよく放つ。
だが一歩遅かったようで、彼女の一撃は虚空を通り、地面に着地する。
「‥‥‥」
周囲を見回すが、クロエの姿も冷羅魏の姿も完全になくなっていた。
もう一人である不知火都姫もまた、姿を消している。
冷気が消える頃には、気配も何もかもが消えていた。
手傷は負わせたとはいえ、冷羅魏はほとんどダメージがなかったことから想定すると、恐らく遠くまで逃げきれているのだろう。
そう思った彼女は深追いをするのはやめ、魔法を解除して元の私服に戻す。
「‥‥‥ふぅ」
目を閉じて熱くなった体に冷たい冬の空気を深呼吸で取り込む。
全身の熱が徐々になくなっていくのが、心地よく感じる。
そして落ち着いた彼女は、たゆたう黒い瞳の少年の方を向いて、ゆっくりと歩いて
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