第三章 兄弟の真実編
第四話 兄妹・護り、護られる存在
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<AM0:00>
外で出す吐息は、いつにも増して白く見える。
天気予報の話では、深夜の気温は0度を下回るとさえ言われていた程だ。
ここまで寒いのは年に数回程で、恐らくこの頃が冬の最低気温なのだろう。
そう思いながら夜の灯火町を歩くルチア=ダルクは、先頭を歩く井上静香の後を追うようにしていた。
右隣には喜多川結衣がいて、私と同じ速度で歩いていた。
ルチア、静香、結衣の三人は今、二人の魔法使いを探して夜の町を歩いていた。
静香は歩きながら魔法使いのいると思われる場所へ向かっている。
今までに入手された情報には今日、二人の魔法使いが向かう場所が判明されていた。
もしその場所にいなければ、捜査は降り出しに戻るかもしれない。
そうでないことを祈りながら、彼女たちは警戒心を高めて歩く。
『――――――ルチア。 もし危ないと思ったら、迷わず俺を呼んでくれ。 必ず助けに行って、守るから』
先ほど、外に出る前に相良翔が囁いた言葉が耳元に甦る。
不思議とその言葉は、戦いへの緊張感を緩和させる力を持っていた。
それこそ、魔法にでもかかったかのように、不思議と安心出来る。
きっとそれは、彼の過去を知り、彼の言う『守る・助ける』がとても大きな意味を持っていると知ったからだろう。
彼にとってそれは、命懸けで、自分の全てを賭けているものだ。
自分の全てを賭けて守ってくれる‥‥‥そんなことを言ってくれる人は、彼が初めてで、それはとても嬉しいものだった。
‥‥‥振り返ってみれば、彼に出会ってから、日常は一気に変わっていた。
隣に誰かがいることが当たり前になっていた。
学校に行く時も、教室にいるときも、お昼の時も、下校の時も、隣には必ず誰かがいた。
その中で相良翔は、一番隣にいる人だった。
変化のきっかけで、全てを変えてくれた人。
彼のことを考えていると肩の力が抜け、少しだけ頬が緩む。
「ルチアさん。 随分と嬉しそうですけど、何かいいことでもありましたか?」
即見抜いたのは、静香だった。
どうやら頬の緩みに気づいたようで、何か感づいたように不敵に笑いながらルチアに話しかける。
ルチアは逃げるように目をそらして静香に返事と返す。
「い、いえ。 なんでもありません‥‥‥」
「‥‥‥ふふ。 そういう事にしておきましょうか」
不敵な笑みを崩さず、クスクスと笑いながら再び歩き出す静香に、ルチアは羞恥から顔を少し紅く染めて俯いてしまう。
頭から湯気が出てしまうのではないかというくらいに熱を帯びたルチアは何度も深呼吸をして冷たい空気を取り込み、体温を下げることに集中した。
そんなルチアに、結衣は真剣
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