第三章 兄弟の真実編
第四話 兄妹・護り、護られる存在
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も速く駆けつけたいと言う気持ちだけが彼を動かしていた。
「‥‥‥ヴァン。 俺たちも行くぞ。 まだ戦いは終わってない」
「はい!」
そして朝我とヴァンもまた、そんな彼の力になりたいと言う想いのままに足を動かした。
魔力を両脚に込めて脚力を上昇させ、地面をえぐりながら弾丸にも劣らない速度で夜の世界を駆け抜けるのだった――――――。
***
相良翔は、たまに考えることがある。
――――――なぜ、誰かの為に必死になるのだろうかと。
今、どうしてこんなにも必死なのだろうかと、考えることがある。
孤児院で、護河家で、学んだじゃないか。
結局、幸せを得るには誰かを失わないといけなくて、失われた人は絶望するしかないってこと。
相良翔の人生は、まさにそれを学ぶかのようなものだった。
孤児院では、虐待にあった人や親に捨てられたと言う人が数多くいた。
朝我零も皇海涼香も、様々な苦しみを受けて孤児院にやってきたのだ。
親がいない‥‥‥それが当たり前のように生活してきた相良翔にとって、彼らの過去は胸に来るものがあった。
そして気づいたときには、親や家族と言う存在に対して不信感に近いものを抱いていた。
それを変えようとして、翔は護河家に入った。
だが、結局どこもかしこも同じなのだろうとあの時は悟ってしまった。
誰かのためなら、平気で他の物を切り捨て、裏切る。
だから信じると言うことは、後で自分のために切り捨てるための犠牲でしかないのだと思った。
「‥‥‥違うよな」
走りながら、翔はそれを否定する。
そう‥‥‥灯火町に来てからの翔は、その考えを自ら否定するようになった。
灯火町で出会った仲間は、誰も皆素晴らしい人達だった。
どんな過去を抱えようとも、仲間と言う真実だけに従って生きている。
彼らにとって、人の過去なんてどうでもいいのだ。
過去は誰でも抱えるもので普通のこと‥‥‥それを否定しようと同情しようと、変わることはない。
本当に見るべきことは、ただ一つ。
今はただ、目の前で苦しんでいる人を疑わず、前に進むこと。
「――――――ルチアッ!!」
翔は右手に持った天叢雲に魔力を込める。
白銀の魔力、そして炎の性質を持った紅き魔力は渦を巻いて刀身を纏う。
それぞれは一本の刀でひとつに交わり――――――『白炎の力』へと進化する。
だが、それだけでは終わらなかった。
「まだ、――――――まだだッ!!!」
更に翔はそこに、雷の性質を持つ黄色い魔力を交わせる。
白炎と雷は、膨大な力を増して徐々に強
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