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魔法使いの知らないソラ
第三章 兄弟の真実編
第四話 兄妹・護り、護られる存在
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とはできなかった。


「‥‥‥」


もはや声も出なかった。

だが、助けを呼ぶような気持ちにもなれなかった。

ルチア=ダルクを守れた‥‥‥その事実だけで、翔の全てが終わったようなものだったのかもしれない。

死を恐る気持ちはすでに消えていたのかもしれない。

だからなのだろう‥‥‥気づけば体は動かず、冷羅魏の一撃を受け入れようとしていた。

この一撃を受ければ、確実に隙となってルチア達がとどめを刺してくれる。

そんな安堵感からだろう。

さぁ、俺を殺せ‥‥‥そう言っているようなものだった。



――――――『光の牙よ! 我が名に置いて全てが敵を喰らい尽くさん!!』



だが、相良翔に迫る氷の槍は突如、空から飛来した純白の光――――――魔力によって砕かれた。

その光景は、まるで白き牙によって噛み砕かれたかのよう。

これは紛れもなく、魔法使いによる力。

そしてそれは、相良翔の疲れ果てた心を立ち直らせる、希望の光だった。


「お兄ちゃん!」


だが、聞こえた声の主は相良翔の心を立ち直らせると同時に、衝撃の事実を与えた。


「なん、で‥‥‥嘘だろ‥‥‥」


茶髪のサイドポニーテールの髪にスクエア型のメガネをした少女。

白いワイシャツの上に青いカーディガンを着て、下は白と黒のストライプ柄の膝下まで丈のあるスカート。

そして魔法使いとしての武器である、白と黒のブーツ。

右は白い光の魔力を帯び、左は黒く闇の魔力を帯びていた。

世にも珍しい、相対する性質を使う特殊な魔法使い。

そしてその正体は、相良翔が守りたい、大切な存在の一人。


「お兄ちゃん。 もう、大丈夫だよ。 あとは、――――――私がお兄ちゃんを守るからッ!!」


護り、護られてきた存在――――――『護河 奈々』だった。
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