第三章 兄弟の真実編
第四話 兄妹・護り、護られる存在
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な眼差しで聞いてきた。
「ルチアは、好きな人がいるの?」
「ぁ‥‥‥」
その質問にルチアは反射的にある人物の姿を思い浮かべてしまった。
それは当然‥‥‥相良翔だった。
ルチアは再び顔をカァァァッと紅潮させて口をパクパクさせてしまう。
「い、いないわよそんな人! いるわけないじゃない!」
不意に、どこかでクシャミをしている相良翔の姿がルチアの頭を過ぎる。
質問をしてくる結衣の意図を読み取ることもできず、ただ動揺だけが自分を襲う。
整理のつかない思考の中、結衣は口を開く。
「嘘つかなくてもいいよ? そんなに顔を紅くしたら余程鈍くない限り、分かるよ」
「うぅ‥‥‥」
確かに、顔は真っ赤になっていれば、それは羞恥の表情だと誰でもわかる。
女子だからこそ、それが恋愛関連に感じてしまうのも当然と言えた。
その上、自分がここまで動揺してしまえば説得力の欠片もない。
結論、ルチアは嘘が下手だった。
「好きな人ってさ、もしかして朝我の親友の相良翔?」
ストレート過ぎる質問に、ルチアは俯いて口をもごもごさせながら曖昧な返答をしてしまう。
「い、いや、好きってよく分からなくてその、彼は私の戦友であって、友達であって、私を変えてくれた人で‥‥‥その‥‥‥」
「つまり、好きってことでしょ?」
「‥‥‥」
何も言い返せない変わりに、頭からプシューと煙が噴出された。
もう限界だったようで、ルチアは力なく頷くことしか出来なかった。
勝ち誇ったように笑を零す結衣はどこか嬉しそうにルチアに言った。
「恋の相談ならいつでも受けるよ!」
「あ‥‥‥ええ‥‥‥その時は‥‥‥よろしく‥‥‥」
もはや何も考えることができないルチアは言われたことに素直に頷いた。
まさかここまで相良翔をネタにされるだけでボロボロにされるとは思わなかったルチアは、戦いが終わったら相良翔の顔を見れるのかと不安になった。
好き‥‥‥その気持ちが確かなら、ルチアはいつもの無表情で彼を見れるだろうか?
言葉にできないこの大きな感情を、抑えることはできるだろうか?
そう思うと、どうしていいのかわからなくなる。
だけど今は、そのことでは迷ってはいられない。
今は、これからの戦いに集中しないといけない。
「‥‥‥ふぅ」
そう考えると、自然と先ほどまでの動揺は消えて再び落ち着きを取り戻す。
「二人共、備えてください!」
静香の痺れるような鋭い声に、ルチアと結衣は真剣な表情になると全身に意識を集中させて魔力を全身にまとわせる。
そして魔法使いとしての姿に変わる。
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