第三章 兄弟の真実編
第二話 兄妹・友情と決意
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相良翔に抱きついてきた少女は、相良翔がこの灯火町に来るきっかけとなった少女――――――護河奈々だった。
相良翔の義理の妹で、今は中学三年生。
受験の時期にも関わらず、何故か彼女はこの町に来た。
そのあまりの驚きに、翔は混乱して喉に言葉を詰まらせて何も言えなかった。
今、目の前で起こっていることが翔にとってはあまりにも衝撃的なことだったのだ。
「えっと‥‥‥翔。 その子、誰なの?」
混乱する翔に声をかけたのは、紗智だった。
紗智の質問で軽く混乱がなくなり、紗智の質問に答える。
「俺の|義妹の、護河奈々」
そう答えると、紗智、武、春人の三人は驚いた様子で翔に聞いた。
「翔って妹いたのか!?」
「妹って言っても義理だ。 血は繋がってない」
「そ‥‥‥そうか」
ここで三人は、質問を止めた。
他にも色々と聞きたいことはあるだろう。
だが、義理であること。血が繋がっていないこと。その二つが出た瞬間、三人は相良翔と護河奈々の関係には様々な経緯があると言うことを悟り、これ以上は踏み込まなかった。
翔自身、これ以上のことを聞かれることはなるべく避けたかったため、三人が気を使ってくれたのは救いだった。
三人に意識を向けていたおかげか、先ほどの混乱はスッキリとしたため、翔は奈々に質問をした。
「奈々。 どうしてお前がこの町にいるんだ? もうすぐ受験だろ?」
奈々は今、中学三年生でもうすぐ受験だ。
それがどれだけ大切なことなのかは今の翔の通う学園の空気感からも察しがつく。
その上、翔は“護河奈々の事情”を知っているため、その心配は誰よりも大きかった。
翔の質問に奈々は顔を上げ、翔の見つめながら答える。
「うん。 でも、受験をする前にお兄ちゃんに会いたかったの」
「なんで?」
更なる疑問に、奈々は翔から少し離れて右手を差し出すと、真剣な表情で答えた。
「お兄ちゃん‥‥‥帰ろう? 私達のところに‥‥‥もう一回、家族をやり直そう?」
「ッ!?」
その言葉に、翔は言葉を失い、全身を僅かに震わせた。
鳩が豆鉄砲を撃たれたかのように目を見開き、奈々の言った言葉を脳内で何度も再生させる。
再生させる度に、混乱が大きくなっていく。
翔の中で、奈々の言った言葉を納得できずにいた。
それに気づいてか奈々は話しを続ける。
「お父さんもお母さんも、お兄ちゃんが帰ってくるのを待ってるよ。 反省して、また一から全部やり直そうって言ってたから‥‥‥私、迎えに来たの」
「‥‥‥」
言葉が出なかった。
全てをやり直す‥
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