第三章 兄弟の真実編
第二話 兄妹・友情と決意
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みを零すと、翔は本当の本題に入ろうと奈々に聞く。
「まぁ俺の話しはこれくらいにして、奈々‥‥‥本題に入ろう」
「え‥‥‥あ、うん」
急に話題を振られて驚く奈々はビクリと反応すると、頷いて最初の話しに戻す。
それは、相良翔を迎えに来たと言うことの意味。
なぜ今、こんなにも早く迎えに来たのか。
色々と聞きたいことがあった。
「お兄ちゃんがいなくなってから、私はお父さんとお母さんとでちゃんと話し合ったの。お兄ちゃんのこと、もっと真剣に考えてあげて欲しいって」
それはとても小さく、そして大切な願い。
気兼ねなく甘えることが出来、優しく答えてくれる兄と言う存在の暖かさを感じることができた、一人の少女の小さな願いだった。
親が仕事で忙しく、帰ってこない日々に感じた胸を締め付ける孤独感。
もしかしたら自分は、この家族のお荷物なのではないかと感じ、その不安に押しつぶされそうだったこともあった。
本当は、生まれてはいけない子なのではないだろうかと、何度も迷っていた。
気づけば小学6年生になる頃には、親の気を使うことばかり考えていた。
親が心配しないために、勉強やスポーツを必死に覚えて、それ相応の結果を残し、親を安心させてきた。
甘えることなんてせず、むしろ遠慮がちになっていた。
知らないうちに、両親との間に壁を作り、その壁からは乗り越えないようにしてきていた。
そんな壁を壊したのは、相良翔だった。
偶々、母親の友人が孤児院で働いている人で、社会勉強の一貫と言うのも兼ねて奈々はその孤児院に行った。
そこで出会った一人の少年‥‥‥それが、相良翔だった。
その孤児院は十数名の若い男女が生活していて、その中で相良翔は奈々にとって異彩を放つ存在だった。
自分とは違い、誰にでも隔てなく接している彼に奈々は憧れのようなものを持っていた。
そして奈々は勇気を振り絞って、相良翔に声をかけた。
それから奈々は何度も翔に会いに来たりしたため、護河家に引き取られて義兄になった。
――――――だが結局、彼を苦しめてしまった。
自分の事情をもっと早く、彼に話していれば彼が父に殴られることはなかった。
彼が傷つき、家を出ていくことはなかった。
その責任を感じていた奈々は、初めて自分の欲を強く言った。
たった一人の義兄と、もう一度仲良く過ごしたいと。
「そしたらね、お父さんも反省してたみたいで凄く後悔してた。 もう一度、全部やり直したいって思ってるんだって。 お母さんも、お兄ちゃんが帰ってくることを心待ちにしていたよ?」
「そう‥‥‥だったのか」
奈々は翔の隣に寄り、彼の左手を優しく両手で包み込んだ。
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