第三章 兄弟の真実編
第二話 兄妹・友情と決意
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ていたのだ。
「意識が朦朧とするまで殴りあった。
当然、体調も万全じゃない俺は勝てなくて、しばらくすれば、奈々の父親に一方的に殴られているだけになった。
そして俺は胸ぐらを掴まれて、渾身の拳を受ける――――――はずだった」
だがその時、護河家と相良翔の間に鼓膜が破れるほどの高い叫び声が響き渡った。
――――――『やめてぇええええええええええッ!!!!!!』
その声のおかげで、奈々の父も翔も我を取り戻した。
そして全員、その声の主の方を向いた。
――――――「だ‥‥め‥‥‥だめ、だよ‥‥‥」
――――――「奈々‥‥‥」
声の主は、奈々だった。
自分が学校を休んだせいで、大切な義兄が傷つけられてしまった。
自分のせいで、家族がぐちゃぐちゃになってしまった。
自分のせいで、義兄が苦しんでしまった。
自分のせいで、自分のせいで、自分のせいで、自分のせいで――――――。
全てが、当時はまだ11歳だった奈々に襲いかかった。
そのことを考えれば、ああなることは必然だったのだろう。
――――――「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい‥‥‥ごめんなさい、ごめんなさい」
瞳から光を失い、目の焦点はどこにも合わず、ガクガクと全身を震わせ、呼吸を荒げた奈々は――――――その場で意識を失い、病院に搬送された。
――――――それが、相良翔の全てを変えた。
「奈々は、精神に負担がかかって‥‥‥俺が中学を卒業するまで、ずっと意識を失ったんだ」
「‥‥‥」
奈々はゆっくりと頷いた。
翔の記憶では、中学卒業までなので約2〜3ヶ月の間だったとされる。
それまでの間、奈々は意識を取り戻さなかった。
病室に置かれた点滴が一滴ずつ流れる光景、日に日に白く細くなっていく奈々の体、ピッ、ピッ、ピッ、と聞こえる穏やかな電子音。
全てが翔の中にはトラウマのように残っている。
「‥‥‥俺がもっと奈々の両親を、奈々を信頼のことを理解して、信じていればこんなことにはならなかった。 だから俺は、全部をやり直すためにこの町に来た。 学生の町で、色んな人と触れ合って、世界を知って‥‥‥今度は『|護河 |翔』と名乗れる俺になるために俺はここにいるんだ」
全てを話し終えた翔は、既に冷め切った冷たいお茶を一口だけ飲んで一息つく。
ルチア達の方を見ると、皆暗く俯いていた。
当然だろうと翔は思い、そして最後に言った。
「俺は最低野郎だよ。 義妹一人守れないでなんでもやれると勘違いしていたんだからさ。 家族と喧嘩するような最低野郎なんだよ‥‥‥俺はな」
再び自嘲的な笑
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